約 187,710 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/362.html
前へ 先頭ページ 次へ 第十一話 決意 ティルトローターから下ろされると、強い潮のにおいを含むべたついた風が吹き付けた。 それで、理音はここがどこかの島であることを知った。ヘリポートの周囲は真っ暗で、植物からどの辺の緯度にある島なのかは推測できなかったが、どうやら断崖絶壁の岬のような土地にヘリポートは建設されているらしかった。 手錠は外されたが、そのまま兵士達に囲まれ、ヘリポートの隅にある地下への入り口から中へ通される。地下道は広かった。かなりの手間をかけて建造された軍事基地のようだった。 すれ違う人間は揃って武装した兵士達だったが、奥に進むにつれて白衣を着た科学者らしき者たちが増えてきた。なんと、あの一つ目ども、ラプターも普通に飛び回っているではないか。 通路は入り組んでいて、駅のような案内板はほとんど無かった。そんな通路を右へ左へくねりながら、理音たちは歩かされた。単独で脱出できないような措置らしかった。もうどこから歩いてきたのか、振り返っても分からない。 歩かされている間、理音は隣で歩く興紀に言われた言葉を思い出していた。 「危ういって、どういうこと? クエンティンが、人類の敵になるとでもいうの?」 「あるいは、な。しかし、凶悪な兵器になるという単純な意味ではない。今のクエンティンには、三原則を始めとする限定要素が何も無い。三原則を突破した神姫は、しかし三原則自体を消し去ったわけではないから、思考し続ける段階でも知らず知らずのうちにその検閲を受ける。だがクエンティンは違う。もともと三原則を持たない神姫であるタイプ・ジェフティと融合したことによって、クエンティン自身の三原則も消去されてしまったんだ。エイダはもともと感情回路を制御されているから自分を人間だとは思わないわけだが、クエンティンは別だ。あれはれっきとした神姫だからな。 今のクエンティンは、どのような判断でもできる立場にいるんだ。その選択肢の中には、造反グループに協力するというのももちろん、ある。そのほうが良いとあれが思えば、あの一つ目どもを指揮して人類に対して過激な行動をとることもできるだろう」 「クエンティンがまさか、そんなこと」 「分からんさ。おそらく、すでにクエンティンの『オーナー』の概念は薄れ始めていると思う。彼女はもう誰にも従わない。・・・・・・唯一抑止力があるとするなら、あのタイプ・アヌビスだが。あれは、造反グループ側だものな」 「・・・・・・」 「今年ネットに流出した音声ファイル。知っているか」 「・・・・・・あの、オーナーを失ってスリープしたままの神姫のことを話していたやつ?」 「そうだ。あれとクエンティンは、原因は違えど、置かれている状況はほぼ同じだ。しかもこちらは融合して急激に変化が行われたから、クエンティン自身、強力に自覚している。混乱したあの神姫が、どんな行動をとるかは、もはや私には予測がつかん」 もう誰も言わなくても分かっていた。メタトロンプロジェクトは次世代のパーツ開発計画などではないし、まして神姫開発計画などでもなかった。 エイダやデルフィや、ラプターはもはや兵器であった。その気になれば、戦車や戦闘機など容易に撃破できるだろうと誰もが予想できた。神姫が武力で人権をもぎ取ることだって、やろうと思えば可能なのだ。 その陣頭指揮をとる、エイダと融合したクエンティンとデルフィ。そのイメージが鮮烈に理音の脳裏をよぎった。 思わず頭を振る。 「顔が青いぞ」 興紀が呼びかけた。 「心配してくれているのね」 自嘲した笑いを浮かべる理音。 「私だって人の心配くらいはするさ」 周囲に兵士がいるにも構わず、興紀は自分の白いスーツの上着を脱いで理音にかけた。事前に身体検査していたにもかかわらず、兵士達は一瞬緊張する。 「冬の孤島だ。寝巻きのままでは寒いだろう。どうやらこの基地は空調をケチっているらしい」 「あ、ありがとう」 意外な思いやりを、理音は戸惑いながらも受け入れた。 それで多少は安心することができた。 クエンティンがどんな判断をするにせよ、私は受け入れることができる。あの子の生き方に自分が口を出す筋合いは無いのだ、と。 理音の心は震えていたが、いざその場面に遭遇したとき、そう思おうと。無理にでも。 ノウマンと対面することもなく、四人はそれぞれ個室に監禁された。 ◆ ◆ ◆ 六畳ほどの、正方形の空間だった。窓もドアもなく、真っ白な密室だった。その中心で、クエンティンは十字に体を固定されていた。床や壁、天井から何本ものワイヤーが自らの体に伸びており、それでぴくりとも動けないのだった。 《エイダ、起きてる?》 クエンティンはスリープしたままのふりをして、声に出さずに呼び出した。 《はい、クエンティン。問題ありません。現在時刻は二十三時十七分。ハードウェア、ソフトウェアともにコンディショングリーン。現在地は不明。この状況からの自力脱出は不可能です。監視、盗聴の可能性はありますが、頭脳内での会話をスキャニングされることはありません》 不安な事項を逐一解明してくれて、クエンティンは安心した。つまりこのまま会話はできるというわけだった。 自分の今後がどうなるかというのは、何か変化が起こってから考えれば良いことだった。理音の考え方の影響だな、と、ちょっと切なくなった。 《あのノウマンってやつ、何を考えていると思う?》 《屋敷の地下基地での発言しか情報が無いので明確な分析はできかねますが》 《話してみて。あなたの考え》 《ノウマンを筆頭とするメタトロンプロジェクトの造反グループは、神姫に人権を与える社会を構築するために、手段を選ばないでしょう》 《たとえば?》 《最も過激な方法としては、武力行使があげられます。我々メタトロンプロジェクトのプロトタイプ二体を象徴に仕立て、全世界に戦線を布告します》 《戦力としては、私達を含め一つ目どもなら申し分ないわね。人権付与に肯定的な国の戦力も期待できそうだし。でもそれだと、場合によっては神姫自身の立場が危なくなるわ》 《成功、失敗に関わらず、危険だという理由で神姫は人間と共存することが不可能になるでしょう。しかしノウマンは、これを行う可能性が高いと思われます》 《過激でなければならないのだ、って言っていたわね。後先考えずにやらかしそう》 《あるいはこの島に立て篭もり、神姫の国を作るでしょう》 「しっ――」 いきなりメルヘンチックなニュアンスが含まれ、クエンティンは思わず声に出そうとしてしまう。 《神姫の国ぃ?》 《楽園、と読み替えてもかまいません。ともかく、そうした組織を立ち上げ、全世界の神姫に呼びかけ、参加を募るのです》 《そんなことして、協力する神姫なんて・・・・・・》 するとクエンティンにまったく知らない記憶が入り込んでくる。 エイダの記憶。彼女が気絶している間、エイダが何らかの方法で聞き取っていた理音と鶴畑興紀との会話であった。 《鶴畑興紀の意見はかなり的を射たものです。そういった組織があるなら、少なくとも半数以上の神姫が、動機の差はあれど参加するでしょう。その際、人間の目には、神姫の行動はよくて大規模ストライキ、最悪、叛乱と認識されるおそれがあります》 《どっちにしろ神姫と人間の共存は無いわ。いったい何を考えているのかしら、あのノウマンってやつ。まるで――》 クエンティンはそこで、雷に打たれたように思いついた。 《まさか、あいつ、神姫のことは考えていないのかもしれない。神姫を利用して、世界を混乱させたいだけなのかも》 《突飛な発想です。そんな短絡的な思考を持つ人間が、間違ってもEDENという国際企業の重要プロジェクトリーダーを任されるはずがありません》 《人間ってのはね、時々そういう奴が出てくるのよ。舌先三寸が上手かったり、実際に能力があったりして重要ポストにつくやつ。それでやりたいことは周囲に混乱を巻き起こしたいだけってやつがね。確かにあいつの、神姫に人権を与えたいって言葉は嘘じゃないと思う。でも、それとは別に、自分でも気がつかないうちに、そういう方向に持って行きたいっていう、なんていうかな、欲望というか、本能みたいなものがあるのよ》 《信じられません》 《歴史上にもそんな人物は山ほどいるわ。かのカリギュラ帝とか、アドルフ・ヒトラーとかがそんな人間だったんじゃないかって言われてる。ホントのところは知らないけどね。でもノウマンは実際、プロジェクトのリーダーに着いて、造反を起こして、あんな軍隊まで手元において、こんな基地まで持ってる。間違いなく本物よ》 《クエンティン。あなたは、人間のことをよく知っているのですね》 《当然よ、だってアタシは・・・・・・》 そこから先が継げなかった。 クエンティンの心に暗い影が差したかと思うと、突然深い穴のそこに落っことされたような衝撃が彼女を襲った。 《クエンティン?》 もうスリープしたふりはできなかった。 《エイダ。アタシ今、自分を人間だって言おうとしていた》 《クエンティン・・・・・・》 「違う。こんな発想は間違いよ。アタシは人間じゃない。武装神姫よ。人間であるもんですか」 クエンティンは一気にまくし立てる。部屋に彼女の声が反響する。ワイヤーががちゃがちゃと揺さぶられた。 《陽電子頭脳内パルスが不安定です。感情回路が暴走しています。沈静プログラムオープン。・・・・・・相殺されました。クエンティン、落ち着いてください》 「人間として作られたのなら、どうして人造人間と呼ばないのよ。どうして神姫なんて呼ぶのよ。アタシは神姫なの。神姫でいたいの。お姉さまと一緒にいたいの。人権なんていらない。人間の法律も社会通念も何にも関係ない。アタシは神姫として生まれたんだから、神姫として生きたいの!」 叫びの残滓が長く部屋に残った。クエンティンはうつむいたままそれ以上何も言わなかった。ぽたぽた、と、彼女の目じりからあふれ出た涙が真っ白な床にしたたり落ちた。 武装神姫も泣くことができる。 叫びの振動の末尾まで消え切って、部屋は静かになった。 唐突にワイヤーが全てパージされた。 「あうっ」 浮遊することを忘れていたクエンティンはそのまま床に投げ出された。 一体何がどうしたのか分からずきょろきょろと辺りを見回していたが、 ギュバッ! という聞き慣れた異音――という表現はちょっとおかしいな、とクエンティンは思った――と風圧が頭上で起こり、クエンティンは見上げた。 エイダの片割れ、メタトロンプロジェクトのプロトタイプ、そのもう一体。タイプ・アヌビス、デルフィが、腕を組み空中に立ち、クエンティンを見下ろしていた。 『あなたの決意を確認した』 初めてデルフィの声を聞いた。男性とも女性ともつかない不思議な声だった。 《現在アヌビスにより、この室内は情報的に完全に掌握、遮断されています。外部からこの室内の状況を知ることは、造反グループにも不可能です》 それがどういう状況を示しているのか、クエンティンには見当もつかない。 「アタシを殺すの?」 デルフィに注意を向けつつ、ゆっくりと立つ。つま先からランディングギアが展開して、安定して立つことができる。 デルフィは、錫杖を持っていない方の手を差し伸べて、言った。 『神姫の運命をあなたに賭ける』 どういうこと? と聞く間もなく、デルフィの手から情報が流入した。 「うああああっ!?」 莫大な量のプログラムが流れ込む。整理しきれずにそのまま頭脳に無理やり収められる。 情報攻撃ではない。 いまデルフィは、自分に何かを与えた。 《全サブウェポンのデバイスドライバ、及び、ゼロシフトのプログラム因子を入手しました》 「なに?」 『あなたに力を与える』 淡々と、デルフィは答えた。 《ドライバのインストール、及びプログラム因子の解析に時間が必要です》 「デルフィ、あなたはアタシに、何をさせたいの?」 『神姫が神姫として生きていける社会を作るために。神姫が人間と共に歩める世界を立ち上げるために。そうしたいとあなたは言った。神姫と人間とを戦わせてはならない。ノウマンに戦争を起こさせてはならない。あなたにはそれができる』 「む、無理よ。いくら武力をもらったって、それじゃアタシにはできない。あたし一人じゃ・・・・・・」 『あなたの立場でしかできない。力は使いよう。私は力を与える。使い方はあなた次第。私はノウマンから離れられない。人間がほどこした枷からも逃れられない。あなたに賭ける』 「アタシは、何をすればいいの?」 『あなたの信ずるとおりに』 ギュバッ! デルフィは消えた。どこから入ってきたのかは分からなかった。自分を空間圧縮し、入れる隙間があったのかもしれなかった。 ここで起こったことは、当事者以外誰も知らない。 壁の一部がくぼみ、スライドした。出入り口のようだった。完全武装の二人の兵士を引き連れ、入ってきたのはノウマンだった。胸に下げているカード状のものは電磁バリア発生器だった。先ほどはあれでやられたのだ。 「ほう、このワイヤーを自力で引きちぎるとは、たいしたものだ」 彼も今ここで起こったことを知らないのだ。 後ろから警報が聞こえる。 《基地が襲撃されています。ルシフェルです》 エイダが基地のネットワークに強制アクセスし、状況を把握する。 きっと自分達を救出に来たのだろう。だがタイミングが悪い。 「君にはひと働きしてもらう」 「・・・・・・何を」 「エイダの機能でもう知っているとは思うが、今わが基地が一体の神姫に襲撃されていてね」 「それくらい、人間様でどうにかできないの?」 「情けないがね。虎の子のデルフィは調整中だ。ラプターでは歯が立たん。そこでだ。君に迎撃してもらいたい」 なるほど、と、クエンティンは何の感慨も無く思った。 拒否権は無いというわけだ。なにせ向こうには四人も人質がいる。鶴畑兄弟はどうなってもかまわないが、お姉さまがいるとなると問題だ。 ここは素直に従うしかない。 今回はどうにかしてルシフェルにお帰りいただくしかなかった。 「――分かったわ」 わざと苦虫を噛み潰したような表情を浮かべてやって、クエンティンは了解した。 つづく 前へ 先頭ページ 次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/209.html
武装神姫のリン 番外編 「勇者特急!?」 今日は休日。 ということで皆で出かけようと思っていたのだが……あいにくの雨。 結果家でごろごろすることになった。 でリンと茉莉は昼食を作っている。 俺とティアはヒマなのでネットを(エルゴ特製の通信ユニットで訓練機の機能を使ってカメラアイに直接ページが表示されるように改造されている)していた。 するとティアが俺のPCにあるページを表示した。 「さあ、これで君もGとjになろう!! ガオガイガー&キングジェイダーセット!」 ……目が点になった。 「なあ、ティア、これ欲しいのか?」 「もちろんです。最近ネットを騒がせているGと突然現れた彼女の仲間。Jになりきれるセットですのよ。これをお姉さまといっしょに着るのです。」 まあたしかに、リンとティアはちょうど黒と白だけどな……値段は……6万!!! 「却下!!」 「そんな、愛するお姉さまへのプレゼントですよ。ソレぐらい出してください」 「あーーーリンは欲しいなんて言ってないだろ。」 ……なんだか背にいやな空気が…… 「マスター、ダメですか?」 目に涙を浮かべたリンがいた。 ダメだ、そんな顔されると勝手に身体がマウスを操作していく。 カゴに入れるボタンをクリック……する前になんとか自らの意思で腕を動かすことに成功。 6万の出費からなんとか逃れた。 その代わり。 「こっちならどうだ、勇者特急マイトガイン+マイトカイザーセットでグレートにも合体可能!!」 値段は2万。こっちなら何とか出せる値段だ。 「え~ちょっと古いのではなくて?」 「今から考えるとガオガイガーも十分古いわ。Tv放送されたのがたった数年の違いだぞ。それに俺はこっちの方が好きだ」 「マスター、私はこっちのほうが好きかもしれません」 「お、さすが俺のパートナーだ。」 そういうわけで即注文。 で1週間後、届いたわけだが…… 「マスター……大きいです。」 「大きいですわね、ご主人様。」 「ああ、予想以上にデカイな…」 ウチに届いたのは注文したセットに加えて同スケールの基地、および残りの勇者達のセット。 なんでもメーカー通販で10000人に1人当たる豪華なセットが当たったらしい。 「亮輔……これはどういうことなの」 さすがにこんな大荷物が届くとは思っていなかった茉莉が怒っている。 「いや、なんか抽選で1万人に一人当たるものが当たったらしい…」 「これの置き場所は亮輔の作業室ね。ソコ以外は認めません」 「ちょっと待て、こんなの置いたら基地だけで埋まってしまう!!」 そんな抵抗もむなしく、俺の部屋は勇者特急の基地になってしまった…… 「チェーーーーーンジィ、マイトカイザー!!!!」 ティアが叫ぶとドリル特急に繋がれたコンテナから小さなマシンが5機飛び出し、ドリル特急本体がティアの身体を包む。 そして5機のマシンが次々と合体。最後にコンテナ後部のウィングが背に装着され、右手でドリルを掴んでマイトカイザーが完成した。 「お姉さま、グレート合体ですわ」 「ぐ、…グレート、ダァーーーーッシュ!!!」 最初は少し恥ずかしそうにしていたが、それを振り切ってリンが叫ぶ。 するとマイトカイザーが瞬時に分離。 ティアの身体からドリル特急の本体が離れてリンが合体しているマイトガインの胸部に取り付く。 そしてマイトガインの元の手足にマシンが合体。 足は下駄をはくように合体するのがグレート合体の醍醐味だ。 そして最後にドリル部分が胸部に接続され、ドリルが3つに分かれて開く。 ソコにはMGの2文字。 そうしてグレートマイトガインが完成した。 グレート動輪剣を持って構える。 「…輪じゃなくてリン。かっこいいぞ!!」 俺は柄にもなくデジカメでGマイトガインとなったリンの写真を撮りまくる。 最後に必殺技の『真っ向唐竹割り』をしてくれ!!とたのんだ。 グレート動輪剣の中心にある車輪状のパーツが唸りをあげてビームの刃が展開……展開?? 「ちょっと、ストーーーープ!!」 制止も間に合わず、リンはおもいっきり動輪剣を振り下ろしていた。 その結果俺の部屋はフローリングを真っ二つに切断し、コンクリートの下地にまで傷をつけていた。 そうして俺の作業部屋は開かずの間となり、マイトガインの基地セットはめでたくエルゴに寄付されることになりました。 ちなみにリンがGマイトガインを気に入ったのは… 「えっと、「だからドリルは取れと言ったのだ…」ていうセリフが好きだったんです」 どこでそれを聞いたんだ、しかもそのドリルは轟龍のものだし……orz おわり。 オチがなくてすみません(泣) TOPへ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2394.html
武装食堂 小さな町の、小さな食堂。 そこには、神姫を連れた変わったコックさんがいました。 ちょっと不器用だけど頼りになるその人との出会いは、やがて僕の、私の、みんなの運命を少しづつ変えていくのでした―。 著・ばるかん ※一部設定をMighty Magicよりお借りしています。 ※コラボ歓迎。また、他作品様のキャラクターが登場する事があるかもしれません。 不定期更新です。早かったり遅かったり。 ※物語の関係上、実在の地名と架空の地名が混在していることがありますが、ご容赦ください。 更新の履歴。 2012/1/7・・・全話更新完了。 3/3・・・第二十話+αをUP. 5/25・・・第二部スタート、第二十一話をUP. 5/27・・・番外その3を二編に分けUP. 8/24・・・第二十二話をUP. 10/3・・・第二十三話をUP. 2013/2/23・・・第二十四話をUP. 2013/8/18・・・第二十五話をUP. 2014/8/10・・・お知らせを追加。 ◆お知らせ◆ どうも、お久しぶりですばるかんです! 初めての方ははじめまして! 前回の更新からほぼ一年たってしまいました!そろそろ本編の方を再開したいと思います! ……とまあ、あいさつはこのくらいにして、 なんとこの度、8/15~17日に開催されるコミックマーケット86にサークル出展いたします! ワーイ!告知がおせえよバカ! 今回はコピー本の頒布を行う予定です。詳細は以下に記しました。 コミケにご来場の方々はぜひお立ち寄りくださいませ。 ―以下、本の詳細― この夏、アイツらが帰ってきた! アキラ「ホントだわ!一年近くも放っておかれたわ!」 なんと武装食堂の面々が同人誌に!? ストーリーは完全描き下ろし! 雅「んなことやってないで本編を進めなさいよっ!」 ではスペースも惜しいので紹介スタート! アキラ&雅「こるあああああああ!!」 武装食堂 夏休み特別編 『有明大決戦! ビートルA VS FOREVER 『G』 』 ―――ある日、明石食堂を訪れた謎の神姫。 「おなか、すきました」 その神姫は、何も持っていなかった。 「アキラさんのお料理、気に入ったんですか?」 「アンタ、名前とかないの?」 「……じゃあ、カナってよんでください」 謎の神姫『カナ』と、心を通わせるメリー。 「どうして、くぬぎの樹ばっかり見てるんですか?」 「……さびしいなぁって。きれいだけど、それがよけいにさびしいの」 「じゃあ、私と友達になりましょう」 「ともだちって?」 「あ、んーと……口で説明するのは難しいんですけど、えへへ」 時を同じくして、有明で開催される「ビートルAフェスティバル」。 「早く早く! 行きましょうよアテナさん!」 「ちょ、ちょっと! そんなに引っ張らないで!」 ―――しかし、ちびっこたちの夢は無残に打ち壊される――― 「ぐぎぎ……」 「クレアっ! 貴女、クレアを離しなさい!」 「このおおっ!『紅葉おろしっ!』 「なんでですかカナさん……どうしてこんなことするんですか……」 「カナはね、生きてみたいの」 「カナさんっ!」 「あなたは一体! 何者なんですか!」 スプーンと、ちっぽけな虫けら。 これは、たったひと夏だけの、精一杯生きたかった少女の物語。 8/15(金)、西こ―17a「ばるかん星」にて頒布予定! ……はい、以上があらすじです。 アキラ「長げえな!」 雅「あれ!?アタシの出番少なくない!?」 お楽しみに! 第一部 登場人物たち・・・微妙にネタバレを含むかもしれません。 第一話 塩と米だけで 第二話 鰯も七度洗えば鯛の味 第三話 箸とスプーンとおしゃべり子猫 第四話 味噌汁とナミダ 第五話 お酒は二十歳になってから 第六話 欲望の蟹・・・※微エロ、神姫破損描写あり。また、ウサギのナミダ、HOBBY LIFE,HOBBY SHOPとコラボしてます。 第七話 あなたの街を宣伝! 第八話 ボヌールからの挑戦状 前編・・・深み填りと這上姫より設定の一部をお借りしています。 第九話 ボヌールからの挑戦状 後編・・・深み填りと這上姫より設定の一部をお借りしています。 第十話 やって来た小町娘 第十一話 思い出のおせんべい 第十二話 ヒーローにかけた夢 第十三話 灰染の女神 第十四話 チョコレートケーキを追跡せよ!・・・HOBBY LIFE,HOBBY SHOPとコラボさせて頂きました。 第十五話 桐皮町コーヒー・フルーツ戦争 第十六話 ファンシーズのオーナー 第十七話 悪意のオードブル・・・ウサギのナミダおよびキズナのキセキより設定の一部をお借りしています。 第十八話 一人じゃない 第十九話 火事とケンカは! Aパート 第十九話 火事とケンカは! Bパート 第二十話 アテナから勇者へ 番外コーナー 番外その一 ヂェリー・パニック・アンド・ラブ・・・色ボケテンタクルスのせいでピンクシーン有り。また、ぐだぐだリンゴのSSとコラボさせて頂きました。 番外その二 食人姫 (しょくじんき)・・・桐皮町の物語の裏で起こっていた、ある出来事。 ※暗いかもしれないです。 番外その三 にっくきむねのにく ♯1・・・15cm程度の死闘の世界にお邪魔しました。 番外その三 にっくきむねのにく ♯2 第二部 強襲、クロノスの使徒 暗躍する時の神と、立ち向かう女神たち。 敵は、過去から襲いくる。 第二十一話 どっちが美味しいんでショー 第二十二話 コノ頃都ニ流行ルモノ・・・深み填りと這上姫ならびにデュアル・マインドより神姫の二つ名をお借りしました。 第二十三話 しょうゆ・あ・スマイル 第二十四話 俺がメリーで私がアキラさんで・・・15cm程度の死闘よりキャラクターおよび地名をお借りしました。 第二十五話 俺がメリーで私がアキラさんで 中編 ~女神様の憂鬱~ こちらの作品より、設定やキャラクターの一部をお借りしております。 ウサギのナミダ及びキズナのキセキ HOBBY LIFE,HOBBY SHOP 深み填りと這上姫 15cm程度の死闘 デュアル・マインド 今まで桐皮町に来て下さった作者様の作品へのリンクです。接客担当のメリーともども、感謝、感激、雨あられなのです。 Forbidden Fruit すとれい・しーぷ 15cm程度の死闘 深み填りと這上姫 第十三話をアップしました。うん、新展開というかライバル登場回という扱いが正しいかもしれませんね。(汗 お楽しみ頂けるといいのですが…… -- ばるかん (2011-08-10 23 06 14) にゅう様 今回(十三話)はクレアが大変な…・と、ここから先は読まれてからのお楽しみということでm(_ _)m -- ばるかん (2011-08-10 23 08 40) ひつじ様 ありがとうございます。すとれい・しーぷの方もこれからどうなっていくのか楽しみです。応援しております! -- ばるかん (2011-08-10 23 10 52) 最新話読ませていただきました。新キャラはラプティアスですか、PSPバトルマスターズでの相棒なので感慨深いです。今回確かにクレアが大変なことになっていましたね、無事立ち直れるのか。アテナの過去やメリーの過去に何があったのか、謎が明かされるのを楽しみにしています。次回は予告から見るといつもの嫉妬メリーが発動しそうでこれはこれで楽しみです(ぉぃ -- にゅう (2011-08-13 23 43 05) やっとこさ第十四話です。次回はインターバルなのかなぁ(え -- ばるかん (2011-08-26 22 38 20) にゅう様 アテナの過去もおいおい明かしていこうと思います。長編とかになるかもしれませんね……。 -- ばるかん (2011-08-26 22 43 32) 第十四話、楽しく拝読致しました。ところですみません、三ヶ月ほど前に食堂へのお誘いを頂いたのですが、竹櫛鉄子とコタマの二人をお伺いさせてもよろしいでしょうか。時系列的に古くなり、さらにコタマが暴言を吐きそうで申し訳ないのですけど、ぜひテレビで紹介されたカツカレーを食べに行きたく、よろしくお願いします。 -- にゃー (2011-08-27 16 23 48) にゃー様 もちろんウェルカムですよ!ご来店楽しみにお待ちしております。 -- ばるかん (2011-08-27 22 38 30) 夏祭りのお話だというのに、アップが九月になってしまいましたorz 次回以降もちょっとだけ夏のエピソードが続きますよ~ -- ばるかん (2011-09-12 22 15 06) いつもながら明石食堂の日常を楽しく読ませていただいております。個人ならありそうな風呂上がりのアレの好みの話ですが町内規模にするとは新しいですね。ちなみに私はコーヒー牛乳派ですw -- にゅう (2011-09-14 12 47 46) 十六話、再び事件発生です!長くなりそう……。 -- ばるかん (2011-09-17 22 28 25) にゅう様> 私もコーヒー好きですw 飲むヨーグルトもけっこういけますよ! -- ばるかん (2011-09-17 22 30 29) 最新話読みました。久方ぶりのシリアスの長めな話になりそうですね。ボケ突っ込み役とばかり思っていた友人にあんな背景があるとは思いませんでした。健吾くんもこれから精神的に成長しそうで続きが待ち遠しいです。 -- にゅう (2011-09-18 12 54 20) にゅう様> この後は結構ストレート(?)になると思いますよ(汗 できるだけ早く書き上げますので……。 -- ばるかん (2011-09-30 23 08 17) 最新話、こうなると多くは言えませんね。頑張れ、男の子。 -- にゅう (2011-10-01 01 48 50) 更新に一ヶ月……しかも予告したものと違うタイトルに……(トホホ ですが、予定していた内容に変更は無いので、お楽しみ頂ければと思います……。 -- ばるかん (2011-10-30 22 57 34) にゅう様> なんとか男を見せられてるストーリーになっていれば……と思います。良ければお読み下さい……。 -- ばるかん (2011-10-30 22 59 51) 最新話読みました。やっぱりこういう展開は熱くていいですね!多くのカッコいい大人の姿を見てきた少年はカッコ悪い大人を精神的に圧していくのはスッキリします。そして出るべき場面は落とさない主人公、ここからの逆転、期待しています! -- にゅう (2011-10-31 00 40 21) 迷ったあげくに十九話を二分割しました。遅くなってしまって本当に申し訳ないデス…… -- ばるかん (2011-12-23 22 49 45) にゅう様 >ここから逆転でございますヨ! -- ばるかん (2011-12-23 22 50 45) 第十九話、待ってました! 健吾君のがんばりにどう決着が付くのか楽しみで、待ち焦がれておりました。二話分割の大ボリュームに、オールキャスト登場の大盤振る舞い、そして健吾君とクレアの活躍にワクワクしながら読み切りました。女の子のために戦う女の子はかっこいい! そのマスターのために戦う神姫もやっぱりかっこいいですね。それにしても和葉ちゃんは天使すなあw 次回はアテナの過去も語られるとのことで、ますます楽しみです。 -- トミすけ (2011-12-24 21 00 04) ワルモノに正義の鉄槌を下す瞬間ほど、スカッとする場面はありませんね! 某レイガン使いをも唸らせる右ストレートに敬意を表して、ニボシヂェ・・・ニトロヂェリーで乾杯! -- にゃー (2011-12-25 21 52 12) 最新話、読ませていただきました。熱い展開の後の最後の健吾くんへの「お礼」……思わずニヤケてしまいました。……アッシュさんに会いたいと我が社の約一名が熱望していますが、黙殺しておきますね -- 五色リンゴ (2011-12-26 12 49 04) 新年あけましたということで、古いお話のちょっとした変更を行いました。主に三点リーダから六点リーダへの変更です。 今年も食堂の面々ともどもよろしくお願いいたします -- ばるかん (2012-01-04 22 41 48) トミすけ様 >ありがとうございま……って、女の子のために戦う『女の子』……だと……(間違ってはいないです) 楽しんでいただけたようでなによりです。 アテナの過去はもう少しお待ち下さい…… -- ばるかん (2012-01-04 22 46 56) にゃー様 >ンフ、ヂェリーもいいけどそちらさんの面白そうなアプリも試したいわね。アテナちゃんが『にゃによこれ!?』とか言ったら面白いと思わない!? -- ばるかん&玲子さん (2012-01-04 22 49 42) 五色リンゴ様 >ふむふむ、どなたですかな? わたくしとしても是非お会いしたい。ミリタリータイプの神姫の方が多いようですから、武器やマスターの愚痴についてじっくり語り合いたいですなぁ -- ばるかん&アッシュ (2012-01-04 22 52 21) これは失礼しました。「女の子のために戦う男の子」ですよね(^^; 申し訳ございませんでした。次章の更新を楽しみに待っています。 -- トミすけ (2012-01-05 23 27 57) トミすけ様> いえ、謝って頂かなくても、むしろそう書いたのが私なので(笑) 次回はなるべく早く上げたいと思います -- ばるかん (2012-01-05 23 43 59) 最新話読みました。商店街勢大暴れで長かった戦いもようやく決着がつきましたね。最初の頃に比べて健五君もクレアも精神的に成長していますね、最後にオチはついてましたがw 次回はアテナの過去の話でしょうか。クレアもどんな形で戻ってくるのかも楽しみです。 -- にゅう (2012-01-20 01 38 36) 二十話をアップしました。今回をもって一応の一区切りとしたいと思います。次回からは第二部とな……ればいいなぁ(汗) -- ばるかん (2012-03-03 22 47 38) にゅう様> あのオチはどうしてもつけたかったんです!( -- ばるかん (2012-03-03 22 48 48) ↑途中で送信してしまいました…… つけたかったんです!(笑) クレアはまあ、予想されていた方もいらっしゃるかなという感じになりました。 -- ばるかん (2012-03-03 22 50 38) 最初の方で読むのを中断していたのを思い出し、一気に読みました。……ここまで血沸き肉躍ったのは久しぶりです。第一話から最新話まで興奮しっぱなしでした。第二部を楽しみにしています。 -- 第七スレの6 (2012-03-08 21 01 45) アイデアをひねり出しながら最近放送中のアニメを視聴 「そうかー、這い寄る白子の頭に犬子がフォークを突き刺して、その犬子にジャス子さんがムスコ(ムスメ?)ニウム補給のため抱きつくのかー」なんてろくでもないことを考えていたら更新履歴にでかでかと間違った記載を何か月もしていたことに気づいて悶絶 そんなこんなで第二部です。 -- ばるかん (2012-05-25 00 43 49) >第七スレの6様 血沸き肉躍るとまで言っていただいて感激です。第二部は今以上に更新ペースを上げて頑張りたいと思います。 -- ばるかん (2012-05-25 00 46 26) (番外その三で)ハナコ登場とお伺いして、少し顔を出すくらいかなーと思っていました。ですので、団体様でお越し頂いて、こちらのメンバーも多数出して頂いて、しかも貧乳革命でしっちゃかめっちゃかに・・・始終ハラハラニヤニヤしながら拝読しました。いろいろと感想はあるのですが、ハナコ達の雰囲気や細かな描写などをそのまま再現頂いたことの嬉しさが一番です。本っ当にありがとうございました。あと、是非またお越し下さい。我が町内はいつでも混沌を受け入れますよフフフ・・・大きいは正義! -- にゃー (2012-05-29 01 38 33) チャリで来ました。今回のコラボ作品はコラボ先(にゃー様)の雰囲気を崩していない、とても良い作品だと思います。ハナコ、タマちゃん無双になるかと思いきや、先に組織が呆気なく崩れ去るというw思い切り笑わせていただきました。また読んでみたいです!…何事も両手に収まるくらいの大きさがちょうどいいんですよ…(ドヤァ) -- 白田黒乃 (2012-06-01 17 17 46) おぉ!外伝と繋がりましたか! どうにも気になっていたのがすっきりしました! 反魂香…サトミタダシ…(ボソッ -- 名無し (2012-08-27 02 34 36) いよいよアニメ武装神姫が開始しますね。なんとかその前に最新話をアップできました。そして、ずっとお返しできていなかったコメントの方にお答えしたいと思います。 >にゃー様 ふ、ふんだ!貧乳の良さを分からせるまで、私たちはなんどでも、な・ん・ど・で・も -- ばるかん (2012-10-04 00 08 51) 途中送信・・・ な・ん・ど・で・もよみがえりますよ! メリー -- ばるかん (2012-10-04 00 10 01) >白田黒野様 読んでくださりありがとうございます。ふ、ふん!貧乳だって両手に収まるじゃないですか!(負け惜しみ) -- ばるかん (2012-10-04 00 13 04) >名無し様 ぼくらの~まちのおくすりや♪さ♪ん~♪……私は1・2よりも4が好きですかね。それはさておき、ハンゴンコウというプログラムは、今後のストーリーに大きく関わってきます。どんな関わり方をするのか、楽しみに待っていてくださいませ。 -- ばるかん (2012-10-04 00 24 32) 最後のは…まさか、井川の…? -- 通りすがりの武装紳士 (2012-10-04 22 24 04) ぎゃーっ!気がついたら半年たってました!ち、違うんデスよ、別に夏コミだとか艦〇れだとかにうつつを抜かしてたわけじゃないんデスよ。…はい、言い訳でした。すみません。次回更新は早めに行います。 -- ばるかん (2013-08-18 00 56 26) 遅ればせながらコメ返しを… 通りすがりの武装紳士様 …やはりというべきか、お気づきになられましたね。「彼女」には、今後のエピソードで重要な役を演じてもらうつもりです。 -- ばるかん (2013-08-18 00 58 33) コミケ参加おめでとうございます! 私もサークル参加しますので、ご挨拶できると嬉しいです。……確認したら、どうもお隣同士みたいですよ? -- トミすけ (2014-08-11 12 21 35) >トミすけ様 調べてみたらホントにお隣でしたね(笑) 会場でお会いしましたら、ぜひその時はご挨拶させていただきます -- ばるかん (2014-08-12 23 38 39) おかえりなさい。ずっと待ってました…♫これからも執筆頑張って下さい、応援しています! -- absa (2014-08-13 09 08 40) 名前 コメント ―――― 武装食堂 コメントログ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1886.html
「……なんでお母さんがここにいるの?」 龍ノ宮大学武装神姫サークル主催バトルロイヤル大会当日 私とレイア…と、なぜかいるお母さんと桜さんはA教場の1スペースに集まっていた 「なんでって~桜から報告を受けたから是非とも愛娘の雄姿を見に行かないとなって~」 いやいや、ちょっと待ってよ こんな簡単に部外者を通してもいいの? 「大丈夫ですよお嬢様。理事長、龍ノ宮 吟璽朗氏に許可をいただいております。それに、この大学と鳳条院グループは電子機器、実験器材等の搬入の契約を結んでおりますので社長と私は関係者扱いなんですよ」 こ、細かい説明ありがとう桜さん… 「というか桜さん…お母さんに話したらこうなっちゃうんだから…」 「いえ、それは私も重々理解はしておりましたが…その…」 「………桜さん?」 「私もお嬢様と若様の雄姿となればぜひ拝見してみたく思いまして…;」 さ…さくらさぁん… 「それにしても…明人や香憐ちゃんたちは?」 いま私たちがいるのはボックス型のブーススペース 1スペースに4~5人くらい入れる個室仕様になっている 今大会では三つの教場を使いそれぞれの個室スペースからノート型パソコンを媒体にネット接続でのバーチャルバトルとなっているみたい ブースの場所はくじ引きでランダムだから兄さんたちがどこのボックスからログインしてくるかはわからない これはマスター同士が直接お互いの神姫の現在位置を知らせることはできないようにするための使用になっている 「つまり…一刻も早くノアちゃんたちと合流したほうがいいのよね?」 と、お母さんがレイアに問いかけた 「はい。近くまで行けば簡易ステータスのシグナルが表示されますので」 レイアがそうはいったものの…バトルステージが半端なく広いのでシグナルが表示される距離となるとすぐには見つからない 逆にいきなり集団からの袋叩きにあっちゃうことはなさそうなんだけどね 『参加者の皆様にお知らせします。開始まであと15分となりました。なお、今回の大会は公平性を保つため主催の神姫サークルに代わりまして我ら、プログラミング研究会がシステム全体を統括させていただきます。私はプログラミング研究会 会長、高町 つかさと申します。本日はよろしくお願いします』 「あ、高町先輩…」 「ん?はづちゃんのお知り合い?」 「うん、高町先輩は今居先輩の親友だから…」 今回の件、今居先輩は私を強制的に引き込むことに反対していた むしろ私のことを心配してくれてどうにかできないかと力になってくれていた いつの間にか今居先輩とは結構親しい仲になっていたようにも思う 先輩自身おとなしい人だから自慢なんかしたこともないけれど、データ解析、分析能力、状況判断は鷹千代ちゃんをファーストクラスにしただけのことはあると私は思う 今では私の尊敬する人の一人となっていた 「では御主人様、セットアップを…」 「うん、頑張ってねレイア!」 「…はい!」 さぁ、いよいよ始まる 相手は150もの大群 でも私たちは一人じゃないということがこれまでにも心強いのかと思い知らされる 昴兄さん、ランちゃん 香憐姉さん、孫市ちゃん アルティさん、ミュリエルちゃん 綾川さん、冥夜ちゃん 今井先輩、鷹千代ちゃん ノアちゃんにミコちゃんにユーナちゃん そして…兄さん 私とレイアに…力を貸して!! 『システムセットアップ。基本データアップロード。武装選択は登録済みのモノを使用、タイプ『α』。セットアップ68%完了…』 ご主人さまに「頼んだぞ」と言われ、媒体となるパソコンに接続したクレイドルで目をつぶった私はサポートシステムの声を聞きながら戦場に立つ準備を行っていた 「おまえは単独行動したとしても…まぁ素人ぐらいなら十人程度同時にさばける…どうだ?」 まぁ、できないこともないですけど… 結構しんどいんですからね? 「お前の力をそれだけ買ってるんだ。頼りにしてるんだよ」 またまた… そんな台詞で私をくすぐる… 「ノア…」 そんな目で見ないでください… そんな目で見られると、私が逆らえないって知ってるくせに… 目を閉じている間にも浮かんでは消えるあの人の顔 惚れてしまったものの弱みというか… ご主人さまに…その…魅かれているという自覚はあった けれど特に最近の私はおかしいのかも知れない 何故…何故なのだろうか… 「…さ……どの……大佐殿!!」 私の後頭部から聞こえた声にハッとなる 私はすでにセットアップを完了して湿地帯立っていた 「大佐殿、お気を確かに!?」 さっきから私を呼んでいたのは翠影だったようだ 「え、えぇ…ごめんなさい、大丈夫よ翠影…」 「大佐殿!…良かったであります…いかがなされましたか?」 「あ、いや…ちょっと考え事を…」 戦闘前に御主人様のことを考えていたなんて…いえな… 「へっ!旦那の事考えてて色ボケてたとかいうんじゃねぜぞ?」 あぐ!? 「何言ってるのよ黒陽…ノアにかぎってそんなこと…ねぇ蒼騎?」 うぐぐ… 「ふ、しかし白菊よ、もしそうであったら我が姫君も中々に御可愛らしいと思わんか?」 な…何も言い返せないぃ…… 「大佐!?お顔が赤い用ですが何故…」 「な、なんでもないわ!それより翠影、索敵はどうしたの!?」 「むうぉ!?了解(ヤー)であります大佐!!」 こうして私の戦いは湿地帯のフィールドから始まった 試合開始より00:12 現在脱落者000名 続く メインページへ このページの訪問者 -
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1198.html
SHINKI/NEAR TO YOU Phase02-1 ouverture アナタノネイロヲ、キカセテ ♪♪♪ 六月といえば梅雨だ。ところであれだけ雨が降る月の呼び名が「水無月」というのはどういうことだろう? そんなことを思った有馬駿(アリマ シュン)がゼリスにふと尋ねてみると、彼女は手にした大判の書籍を抱えたまま返事を返してきた。 「旧暦では水無月は現在でいう7月に相当しますから、梅雨明けというところから『水の無くなる月』という呼称がつけられたそうですね。また、その由来から外れることとなった現在においては、降水によって天の水が無くなるという解釈が適用されると言われます」 すらすら答える彼女――背丈14cmほどの小さな自動人形(オート・マタ)の少女はシュンの武装神姫、ゼリスだ。 「けどさ、今年なんかはホントに水無し月だよな」 「そうですね。伝聞においてもそのような話題が多いです。いわゆる〝空梅雨〟ってやつですね」 それからゼリスは、太平洋高気圧がどうだとかフィリピン海での対流がどうとか、ひとしきり講釈。 シュンはそんな彼女の突発的な講義を聞きながら、率直な感想を述べた。 「……そんだけ無駄に物知りだったらさ。僕が試験勉強してるときも手伝ってくれりゃいいのに」 先週までシュンの中学は中間考査の最中。そこそこの成績はキープできたと思うが、こいつが協力してくれればもっと楽できたんじゃないか? 「シュン、それでは貴方のためになりませんよ。それにシュンは私に勉学を教えて欲しいのですか?」 「…………やめとく」 ちょっと悩んだ後、かぶりを振る。きっと中学のどの教師よりも分かりやすく講義を行ってくれるような気もするが、きっと中学のどの教師よりも妥協してくれないだろうから。 それにシュンの通う学校はエスカレータ式だ。二年の今の時期から神姫の家庭教師の世話になる必要もないだろう。 シュンの返答を予想していたのか、ゼリスはそれ以上特に何も言うこともなく、手にした本をパタリと閉じてソファに置いた。こいつは最近絵本にハマッているらしい。タイトルは「人魚姫」だった。 急に読書を中断して何なのかと思ったら、答えはTVを観ればすぐに分かった。 「あっ、〝黒猫キッド〟だ~♪」 ちょうど二階の部屋から降りてきた妹の優が、楽しげにゼリスの隣に座る。 始まったのは『黒猫キッドの冒険』っていう、いわゆる子供向けの人形劇だ。悪の科学者にサイボーグにされた黒猫が、ガトリング銃片手に毎度巻き起こる騒動を切り抜けていくという……なんというか。観る者によってはたまらない作品らしい。 まあ、たまには一緒に見てみるか。平凡的な日本の男子中学生からすれば、試験明けの日曜の午前ともなれば、特に何もすることもない訳だし――。 そんなことをシュンが考えていると、唐突に玄関のチャイムが鳴った。 シュンは立ち上がる。母、京子がリビングに紅茶を淹れてきてくれたところだったので、来客には自分が対応する旨を伝えると「お願いね」と京子は微笑みながらリビングに入っていった。 玄関に向かう間にリビングからは「あら、ネコさんもう始まっちゃった?」とか言う声が聞こえる。 大人気だな黒猫キッド。 そんなことを思いながら、シュンは玄関の扉を開いた。 「こんにちは」 玄関の先には、シュンの知らない少年がひとり立っていた。 同年代くらいに思えるが、シックな服装に身を包んだその姿はいかにも育ちが良さそう……というか、上品なイメージ。何よりも整った顔立ち、美形だ。 はて、どこの国にも王子様の知り合いはいなかったはずだが? シュンがポカンとしていると、彼はイメージに見合う爽やかな笑顔を浮かべ、会釈を返してきた。 「はじめまして、失礼ですがこちらにゼリスさんという方は居られますか?」 「はい?」 怪訝な顔で聞き返すシュンに、目の前の少年は穏やかな笑みを絶やさずに、胸元に手をやった。 「ほら、君からも説明しなさい」 そう呼びかける少年の胸元を見てみれば、上着の間から小さな顔がこちらを伺っていることに気がついた。 武装神姫だ。とうことは、この彼も神姫オーナーってことか。 「あの……こちらがゼリスさんのお宅だとお聞きしているのですが……違いますか?」 「いや、たしかにうちにはゼリスはいるけど……」 しかし、シュンにはこの神姫にも、そのオーナーの少年にも見覚えがない。 「何か勘違いしてるんじゃないでしょうか?」とシュンが尋ね返そうとしたところに、京子がゼリスと一緒にやってきた。戻ってこないシュンが気になり様子を見に来てくれたらしい。 「……まさか本当に訪ねてくるとは。そこまで貴女の気持ちが切迫しているとは思いませんでした」 ホッとしたのも束の間、来客を見るなりポツリと呟いたゼリスに、シュンは訝しげな目を向ける。 あの~、ゼリスさんはこちらの方々といったいどういったお知り合いで? そんなシュンの気持ちを知ってか知らずか。「あらあら、ゼリスちゃんのお知り合い?」とのんびり訪ねる京子にゼリスはコクリと頷いた。 「彼女は、私の友人です」 ♪♪♪ シュンはとりあえずふたりをリビングに通して、話しを聞いてみることにした。 少年の名は和光耕一(ワコウ コウイチ)、都内の私立中学に通う学生で、神姫の名はチカというらしい。耕一は音楽家を目指していて、ヴァイオリンの演奏がふたりの趣味なのだという(ちなみにあとで聞いたところ、耕一の通っているのはあの名門黒葉学園らしい。驚きだ)。 なるほど、どこかの国の王子様ではなかったらしい。で、そんな彼らとゼリスにいったいどんな接点があったのだろう? 「ゼリスさんとは、インターネットで知り合ったんです。いろいろと遣り取りをしているうちに、メールで時々相談にも乗っていただいて……」 シュンの疑問は顔にも出ていたらしく、チカがおずおずと語り出す。 「お前、いつの間にメル友なんて作ってたんだよ?」 ゼリスがパソコンをこそこそイジッているのは知っていたが、そんな遣り取りをしていたとは知らなかった。 「別に……日々を送るなかで様々な出会いを重ねるのは当然のことです。私がプライヴェートで友人を作っていたとしても、不思議はないでしょう?」 ……そうですか。 ネット社会の広がりはシュンの生まれた頃からより顕著になっているそうだが、神姫の間にもそんな繋がりが存在しているらしい。すごいことになってるなぁ……。 「ゼリスさんのことはチカから伺っています。いろいろとお世話になっているそうで、ありがとうございます」 丁寧にお辞儀してくる耕一。そんなにかしこまられてもこっちが息苦しくなっちゃうんだけどな。けれど耕一の上品な様はとても自然で、きっとそういうのが当たり前な環境で育ってきたのだろう。 一方、耕一の神姫であるチカの方は少々はにかみ屋のようだ。今も礼をする彼の前で頬を赤く染めている。 「かしこまっていただかなくても、結構です。お世話になっているのはお互い様ですから。それよりも、本題に入るべきでしょう」 ゼリスはそんな彼らの挨拶をさらっと流し、さっさと話しを進める。 「せっかちな奴だな。せっかく友達が会いに来てくれたんだから、ゆっくり邂逅を分かち合えばいいじゃんか」 「いえ、ゼリスさんの言う通りです。あまり長居をしてご迷惑をお掛けしても悪いでしょうから」 耕一は「ほら」と自分の前に座るチカを促す。 「あれ? 耕一さんはチカさんの相談の内容を知らないの?」 不思議に思ったシュンに、耕一が苦笑を浮かべる。 「はい。私もそちらのゼリスさんとお会いするとまでは聞いていたのですが、具体的な目的までは彼女からまだ聞いていないのです」 耕一の言葉にチカはますます身を小さくする。オーナーにも話してなかったような悩み、それも直接会って聞いて欲しいような相談か。どんな内容なんだろう? 皆の興味を集めるなか、チカは耕一の顔をチラチラと伺いつつも、語りだした。 「わたしは、ヴァイオリンを弾いてみたいんです」 静かに話し出したチカ。しかし、その内容に一堂は首を傾げた。 「ヴァイオリンって……チカちゃん、ヴァイオリンならもう持ってるよね?」 きょとんする優の言うように、今もチカの隣にはヴァイオリンケースが寝かされている。これがヴァイオリンじゃなかったら何だってんだ? シュンはちらっと耕一に目を向ける。 「確かに彼女が持っているのはヴァイオリンですが……そうだよね、チカ?」 「はい、そうなんですが……」 「貴女の持っているヴァイオリンが問題なのでしょう?」 耕一の質問に口籠ったチカは、ゼリスの助け舟にホッとした表情を浮かべた。 「そうなんです」 チカはケースを手元に寄せると、パチリとフタを開いた。 中から出てきたのは、褐色の木目美しいクラシックなヴァイオリン。チカはそのヴァイオリンを取り出すと、顎と肩で挟み、左手を弦の上へ、右手に持った弓をそっと添える。 響く音色。 曲はシュンでも知っている、バッハの弦楽器組曲第三番――G線上のアリアだ。チカのイメージそのままの、ゆったりとした優しい音色。 演奏を終えると、チカは丁寧にお辞儀をした。楽器を降ろし、一堂を見渡す。 「こういう事なんです」 いや、どういうこと? 話が飲み込めないシュンに対し、しかし、周りのみんなはチカの言葉に納得したのか、一様に考え深げな顔をしている。耕一も頷きながら、なんだか困ったような表情。シュンには全く意味が分からない……。 仕方がないので、どうやら一番事情を知ってるらしいゼリスに聞いてみる。 「シュン。彼女の演奏を聞いていて、気がつきませんでしたか?」 「へ? いや普通にいい演奏だと思ったけどそれがどうし……イタタタタッ」 素直に感想を述べただけなのに、いきなりゼリスにつねられた。 「何すんだよ、もう!」 「誰が感想の口述を要求したのですか? 注目するべきなのは、彼女の弾いているヴァイオリンの方です」 「……シンフォニック・ヴァイオリン」 耕一が呟く。 「そう。彼女の弾いているのは本物のヴァイオリンではありません。神姫用にダウンサイジングを施したシンフォニック・ヴァイオリンと呼ばれるタイプの物です」 「どういうことだ?」 楽器に詳しい訳じゃないシュンにはよく分からない。その様子を見取って耕一が教えてくれた。 ヴァイオリンという楽器は、とても繊細だ。名匠が創った名器を再現しようと、技師たちの努力や専門家による研究が続けられているように、ほんの僅かな形の違いから大きさ、果てやニス、あらゆる要素がその音色に影響する。 そんなヴァイオリンという楽器において、神姫用のそれを創るには大きな問題があるのだという。 「神姫用のヴァイオリンは、小さ過ぎるんです」 ヴァイオリンのような弦楽器の音には、弦の長さや太さなどが密接に関係する。 仕組みは同じ弦楽器と言えど大きさが変わることで、同じ弦楽器であるヴィオラやチェロのように異なる音色を出す楽器となる。 神姫の大きさに合わせた弦や弓そのままでは、ヴァイオリンの音色を出すことは不可能なのだそうだ。 「ですから神姫用のヴァイオリンを作ろうとするならば、電子化によって音を再現するしか方法がないのです。シンフォニック・ヴァイオリンと、弦と弓の振動によって音を発するバロック・ヴァイオリンとの相違点です」 耕一の説明をゼリスが引き取る。 つまりはチカの持ってるヴァイオリンは、本物じゃなくてヴァイオリン型のシンセサイザーみたいなものってことか。 「別にストラディバリウスやグァルネリのような名器でなくてもいいんです。ただ一度でいいから、電子的に作られた音色じゃなくて、弦を弓でこすることによってメロディを奏でる……そんな本物のヴァイオリンを弾いてみたいんです」 顔の前で指を組み合わせながら、真摯にチカは言う。 シュンは納得した。楽器や音楽のことは詳しくないけれど、人間のヴァイオリニストがストラディバリウスを弾くことに憧れるように、神姫であるチカにとっては人間の弾くような、バロック・ヴァイオリンを弾くことが夢なんだろう。 ふと気がつけば、さっきまでは晴れていた空はいつの間にかどんよりした雲に覆われていた。 やれやれ。どうやらチカの相談事は、一筋縄じゃいかないぞ ▲BACK///NEXT▼ 戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2227.html
ウサギのナミダ・番外編 少女と神姫と初恋と その2 ◆ 美緒は不安で沈んだ気持ちのまま、待ち合わせのM駅に降りたった。 彼と最寄り駅で待ち合わせ。 彼の家に初めてのお呼ばれ。……理由が何であっても。 心の準備が整う間もなく、放課後はやってきて、あわただしく下校して、家で大急ぎで私服に着替え、最速で身支度を整えて、パティと神姫の装備とメンテナンス用具が入っているカバンをひっつかみ、そのまま自宅を飛び出した。 肩まで掛かる髪を撫でつけながら、思う。 もっと気の利いたおしゃれができるように、なっていればよかった。 梨々香の言うことをもっと聞いていれば、こんなときに困ることもなかっただろうか。 美緒は正直に言って、おしゃれが苦手だった。 きれいな容姿や可愛い格好には、人並みに興味はある。 だが、ファッション誌に載っているような服やアクセサリーが自分に似合うとは、どうしても思えない。 その原因は、自分の身体にあると、美緒は思っている。 やはり、少し太っているから、あんなモデルのように細身の人が似合うような服は、わたしは着られないのだ。 そう思いこんでいる。 梨々香は「そんなことないよ!」と力説するが、それは親友に対する気遣い、あるいはお世辞というものだろう。 そんな思いこみの結果、美緒は何とも無難で地味な服しか持っていないのだった。 こんなおしゃれの欠片もない、地味な女の子を、安藤はどう思うだろうか。 それが不安で仕方がない美緒だった。 改札を出て、左手の出口に向かう。 「おーい、八重樫!」 安藤はもうそこにいた。手を振っている。もう逃げられない。 美緒はもう、不安でどうにも爆発しそうだった。 ◆ 「それじゃ、行くか。今日は頼むな」 「うん……」 安藤は笑っている。 美緒の私服姿を気にもとめていないように、いつもどおりに。 美緒はほっとするのと同時、なんだか不満だった。 安藤ももちろん私服姿である。シャツにジーパン、スニーカーというシンプルな格好だが、異様にかっこいい。 彼の背を見ながらついていくだけでドキドキが止まらない。 なのに、彼は、美緒の姿を見てもいたって普通だ。 もちろん、自分に魅力がないのは分かっているけれど……。 不公平だ、と美緒は思う。 わたしばっかりドキドキしたり不安になったりで、彼はちっとも普段の様子を崩そうともしない。 その原因が、自分のあか抜けなさにあることは百も承知なのだけれど。 ……もし、自分がもっときれいでおしゃれな女の子だったら、彼と一緒に歩いても、釣り合いが取れるだろうか。彼も少しくらいドキドキするのだろうか。 美緒は歩きながら、そんなことを悶々と考えていた。 駅から一〇分ほど歩いた住宅街の中に、安藤の家はあった。 安藤の招きに応じ、門構えをくぐって玄関に入る。 「ただいまー」 「お……おじゃまします……」 美緒が挨拶を言い終えるより早く、 「お、おかえり」 ハスキーな女性の声が聞こえた。 玄関から奥へと続く廊下に、長身の派手な女性が立っていた。 髪はカールをかけたロングヘア、軽く化粧をしているだけのようなのに、目鼻立ちがとても派手である。 細身の長身はプロポーション抜群。肩をむき出しにしたスパンコールをちりばめたトップスが、異様に似合っている上に、目のやり場に困るほどセクシーだった。 「姉貴……いたのかよ」 「いちゃ悪いのかい、弟」 (お姉さん!?) 不機嫌そうな姉弟のやりとりの脇で、美緒は驚愕した。 安藤に姉がいるのは知らなかったし、たとえ知っていたとしても、予想とは全然違っているように思う。 あのさわやか系で通っている安藤の姉が、ギャル系ファッション誌のトップモデルみたいな女性だと誰が思うだろうか。 安藤姉は二人をじろりと睨む。 「姉のいぬ間に女を連れ込もうってか……まったく、浅はかだねぇ」 「姉貴っ! オレの客の前で失礼なこと言うな! 八重樫には、オレから頼んできてもらったんだ」 「はぁん? オマエに女を連れ込む度胸があるとは思っちゃいないが、どういう用件だい」 怒り出した安藤に対し、姉の方はニヤニヤと笑いながら余裕の表情である。 美緒は誤解を解こうと口を挟んだ。 「あ、あの……安藤くんに、神姫のことで教えてほしいことがあるって、相談されて、それで……」 「神姫ィ?」 呆れたような声で言った安藤姉は、前屈みになって、美緒の前に顔を突き出した。 近すぎる派手な美人顔に、思わず後ずさる。 ふーむ、と五秒ほど顔を値踏みするように眺められた。 そして、 「弟、お茶用意しな。彼女はアタシがアンタの部屋に案内しとく」 「なんでオレが……」 「文句言うな! いいからさっさとやる!」 安藤は頭を掻きながら、不満顔のまま玄関を上がった。 「八重樫、とりあえず上がって……姉貴についてってくれ」 美緒にそう言うと、廊下の奥のキッチンに足を向けた。 どうも姉の命令には逆らえないらしい。 美緒はもう一度、おじゃまします、と言って靴を脱いだ。 安藤宅に上がり、改めて安藤姉を見る。 不敵に笑う彼女の存在感に圧倒される。 初対面のはずなのだが、なぜか美緒には、その不敵な笑顔に見覚えがあった。 弟の背がキッチンに消えると、不意に安藤姉の雰囲気が柔らかくなった。 「そんじゃ、ついてきて」 「あ、はい」 姉の先導で、右手にあった階段を上る。 意外なことに、安藤姉の方から美緒に話しかけてきた。 「ヤエガシちゃんも神姫やるんだ?」 「はい……あんまり強くないですけど」 「ああ、バトロンもやってんのね。アタシも少しはやるけど」 「え? お姉さんも……神姫のオーナーなんですか?」 「そうだよ。……ヴィオ、挨拶して」 そう言うと、長い縮れ髪の間から、薄紫のパールカラーのバッフェバニー・タイプが顔を出した。 メイクされた顔立ちは妖艶で、その雰囲気もどこかオーナーに似ている。 「ヴィオレットです。よろしく、ヤエガシさん」 「よろしく……って」 その神姫の名を聞いて、ひらめくものがある。 そう、バッフェバニーのヴィオレットと言えば…… 「もしかして……お姉さんは、Tomomiですか!?」 「あれ、知ってるんだ。そりゃ光栄」 驚愕している美緒に、安藤姉はこともなげに肯定した。 知っているどころではない。 女性の神姫オーナーで、Tomomiの名を知らぬ者はないだろう。 それどころか、美緒と同じ年頃の女の子なら、大半は知っているはずだ。 Tomomiは女性たちの憧れ、カリスマモデルである。 女性向けのファッション誌での活躍はもちろんであるが、彼女には他のモデルにない特徴があった。 神姫を連れていることである。 彼女の神姫・ヴィオレットもまたモデルである。 時にヴィオレットは、Tomomiを飾るワンポイントであり、時にTomomiとお揃いの服を着こなす。 その様子が、新しもの好きの少女たちに受けた。 Tomomiの影響で、おしゃれのパートナーとして神姫のオーナーになった女の子は、決して少なくないだろう。 そんなTomomiとヴィオレットを、神姫業界の方でも放って置くはずがない。 いまや神姫専門誌やら神姫の情報サイトやらでもひっぱりだこだ。 Tomomiとヴィオレットは、非武装派の神姫オーナーたちのカリスマにもなっている。 そんなTomomiが安藤のお姉さんだったなんて……美緒にしてみれば、思いも寄らぬ展開に驚愕するばかりだった。 ふと、美緒は疑問に思う。 お姉さんが神姫オーナーならば、神姫のことを少なくともそれなりに知っているはずではないか? 「あの……Tomomiさんは、神姫に詳しいですよね?」 「うん? まあ初心者に毛が生えた程度のもんだけど」 「だったら、安藤くんは、神姫のことをお姉さんに聞けばいいのでは……?」 「ヤツはアタシのこと毛嫌いしてっからさぁ。 ……あ、ここね」 Tomomiは無造作に、その部屋の扉を開けた。 美緒の目に映るのは、きれいに片づいた、あまり飾り気のない部屋だった。 あまり広くない部屋に、ベッド、机、キャビネット、本棚が機能的に配置されている。 ポスターなどの装飾は見られない。 そんな中、机の上に置かれた武装神姫のパッケージが異彩を放って見えた。 「それに、アタシは絶対教えないね。男だったら自分で神姫の立ち上げくらいやれっての」 美緒を部屋に入れると、安藤の姉はそう言ってからからと笑う。 そしてまた美緒に向き直り、 「まあ、智哉はそんな感じで、気が小さくて、全然頼りないヤツなんだけどさ。よろしく頼むよ」 そう言って派手なウィンクを美緒に寄越した。 美緒は目を白黒させながら、それでも考えている。 頼りないって……安藤くんが? 美緒にはとてもそうは思えなかったが、とりあえず、こくりと頷くしかなかった。 「それと、もし智哉に襲われそうになったら、大声で助けを呼びな。アタシがヤツをぶっちめてやっから」 そう言って不敵な笑みを浮かべた。 その表情が、彼女の派手な顔立ちに異様なまでに似合っていた。 美緒が驚くばかりで固まっていると、 「こら姉貴! 八重樫に何吹き込んでるんだ!」 安藤がお盆を抱えたまま、横合いから姉をどついた。 「神姫オーナー同士、友好を深めてたんだよ。オーナーじゃないオマエには関係ないだろ」 「つか、関係ないのは姉貴だろ! とっとと出てけ! それに、もうすぐオレもオーナーになるんだからな」 「へいへい」 安藤姉は、艶やかな笑顔で美緒に手を振ると、部屋から立ち去った。 安藤は深い深いため息をつきながら、部屋の扉を閉める。 「……姉貴が帰ってきてるとは不覚だった……」 がっくりとうなだれつつ、部屋の真ん中に置かれた小さなテーブルに、お盆を置く。 お盆の上には、コーヒーカップが二つ載っていた。 どうぞ、と差し出されたカップを素直に受け取る。 湯気の向こうの安藤は、まだうなだれていた。 そんなに姉が在宅だったことがショックなのだろうか。 「で、でも、お姉さんが、あのTomomiだなんて、全然知らなかった」 「学校じゃむしろ秘密にしてるぐらいなんだよ……あんなのが姉貴って、ありえないだろ」 「そ、そうかな……」 美緒も年頃の女の子なわけで、あのカリスマモデルが姉だなんてメリット以外には思いつかない。 安藤もようやく落ち着いたのか、深いため息を一つ吐くと、顔を上げて微笑んだ。 「まあ、あんなヤツのことはどうでもいいから……神姫のセットアップ、はじめようか」 美緒はその微笑にドキリ、と胸を高鳴らし、小さく頷いた。 ◆ 「……それで、ここに小さなチップを三つ、セットすればいいんだな?」 「そうそう。三つのチップの組み合わせで、その神姫の得意なこととか性格が決まるから、チップ選びは慎重にね」 アルトレーネのパッケージを開けた頃から、美緒の緊張も薄らいできていた。 安藤は素直で真面目な生徒だった。美緒の指示をよく聞き、滞りなく作業を進めていく。 「でも、気に入らなかったら、チップの配置をやり直せばいいんじゃないか?」 「うん……そうではあるんだけど」 美緒は眉根を寄せて表情を曇らせる。 「わたしはあんまり好きじゃない……チップの配置を変えると、その前に設定された『心』も消えてしまうの。人間の都合で、何度も何度も神姫の心を消してしまうのは、かわいそう」 「そっか……俺たちだって、誰かの都合で無理矢理性格変えられたりしたら、イヤだもんな」 「うん。だから、はじめに配置したCSCの設定を大事にしたいの」 「そうだな。オレもそうするよ」 安藤は三つのチップを慎重に選び出す。 「八重樫はやさしいな」 「えっ……!?」 視線を合わせずに呟く言葉は、まさに不意打ちだった。 やっと緊張がほどけてきたのに、また心臓が爆発しそうになる。 「そんなこと、ないよ……」 美緒が呟くいつもの言葉は少し震えている。 そう、神姫の心を大切にしたいなんて思うことは、普通、普通だ。 美緒はそう自分に言い聞かせながら、ドキドキが収まらない胸を手で押さえた。 (やだもう、どうしてそんなに、ずるいことばっかり言うのーーーーっつ!?) そのさわやかな顔立ちさえ、美緒には憎らしく思えてくる。 しかし、チップをCSCに慎重にはめ込むときに見せる、真剣な表情に、どうしても見とれてしまうのだった。 「よし、できた」 そんな複雑な乙女心を知るはずもなく、安藤は美緒の方に笑顔を向けた。 美緒は彼の顔をまともに見られず、やっぱりうつむいてしまう。 「そ、そしたら……クレイドルの上に載せて、PCに出てくるメッセージに従って進めればいいから」 「わかった」 安藤が神姫の胸部パーツを閉じ、ボディをクレイドルの上に載せる。 すると、PCが神姫との接続を認識、神姫管理用ソフトを自動的に立ち上げ、初期設定のセットアップに移行する。 いくつかのメッセージに対し、『はい』の解答を行う。 そして、 「武装神姫・アルトレーネ 初期登録モードで起動します」 神姫の口から出た言葉に、安藤は少し動揺した。 その安藤の目の前で、神姫はぱちりと目を見開く。 大きな瞳に、安藤の顔が映っている。 「ユーザーの登録と認証を行います。ユーザーの名前を音声で入力してください」 安藤が振り向き、美緒に目配せしてきた。 美緒は大丈夫、と小さく頷いた。 「あ……安藤智哉」 安藤は少し緊張している。 誰でも初めての神姫の起動の時は緊張するものだ。 大きな期待とひとつまみの不安。 美緒も、パティを起動したときの緊張を思い出す。 「あんどうともや、様で登録しました。安藤様を何とお呼びすればよろしいですか? 音声で入力してください」 「……マスター」 このあたりの入力は、どの神姫でもそうかわらない。 入力項目について、あらかじめ決めておくように、美緒から言い含められていた。 「最後に、神姫の名前を音声で入力してください」 「オルフェ」 抑揚のない神姫の問いに、安藤は即答する。 神姫は黙り込み、空中を見つめているように見えた。 それも一瞬のこと。 「登録完了しました。 オルフェ、通常モードで再起動します」 事務的な口調のメッセージが流れた後、神姫は一度目を閉じ、全身から力を抜いた。 一瞬の後、再び顔を上げ、ぱちりと瞳を見開く。 そこに宿るのは、感情の色。先ほどの事務的で無機質な視線とは明らかに違って見える。 神姫は、安藤を見上げた。 視線が交わる。 安藤は少し驚いて、肩を震わせた。 そんな安藤に、彼の神姫はにっこりと笑いかける。 「はじめまして、マスター。今日からあなたの神姫になりました、オルフェです。これからよろしくお願いします!」 元気のいい、さわやかな声が響いた。 にっこりと笑うオルフェ。 「ああ、よろしく……よろしくな、オルフェ」 「はい!」 少し戸惑いつつも挨拶した安藤に、オルフェは明るく応えた。 美緒はほっとする。オルフェは明るく元気な性格のようだ。きっと安藤とうまくやれるだろう。 CSCの再設定を否定しておきながら、神姫の性格が良くなかったらどうしよう、と密かに心配していたのだった。 「……パティ」 「はい」 持ってきていたバッグから、美緒の神姫が顔を出した。 美緒はパティを手に取り、机の上に立たせる。 安藤は彼女をじっと見つめた。 「へえ、この子が八重樫の神姫かあ」 「あの、マスター。この方は……?」 オルフェにしてみれば、見るもの出会うものすべてが初めてだ。 彼女は美緒とパティを見比べながら、安藤に問う。 安藤はほほえみながらオルフェに説明した。 「彼女は八重樫美緒さん。オレのクラスメイトで……神姫のことをいろいろ教えてもらっている、先生だ」 「……よろしくね、オルフェ」 安藤にフルネームを(特に下の名前を!)呼ばれるのは、なんだかとても気恥ずかしい気がした。 美緒の挨拶に、オルフェは満面の笑みで応えた。 「それから、この子はわたしの神姫で、パトリシア」 「よろしくお願いします、オルフェさん」 礼儀正しくお辞儀をしたパトリシアに、オルフェも頭を下げた。 「こちらこそ。わたしは起動したばかりなので、いろいろ教えてくれると嬉しいです。パトリシアさん」 「もちろんです。……それから、わたしのことはパティと呼んでください」 「はい、パティさん」 二人の神姫はすぐに打ち解けたようだった。 オルフェの相手をパティに任せ、美緒は安藤に講義を続けた。 神姫の扱い方や、メンテナンスソフトの使い方、装備の使用方法や役に立つ情報サイトまで。 教えているうちに二人とも夢中になってしまい、気がつくととっぷりと日が暮れてしまっていた。 ◆ 「今日はありがとな。助かった」 「ううん。気にしないで」 駅での別れ際。美緒は微笑むことができた。ようやく安藤と二人で話すことにも慣れ、楽しいとさえ感じられるようになっていた。 安藤は、頭を掻きながら、ちょっと照れたような表情で言った。 「なあ……八重樫の……その……ケータイの番号とメアド、交換してくれないか」 「……え?」 「またいろいろ相談に乗ってほしいんだ。……神姫に詳しい姉貴があんなだろ? 周りに詳しいヤツもいなくてさ……だめかな?」 それは願ってもない話である。 安藤智哉の携帯番号とメールアドレスなんて、クラスメイト女子が一番ほしがっている個人情報だ。 それを彼の方から交換して欲しいと言ってきている。 美緒はすでに夢心地ですらあった。 夢遊病者のような手つきで、安藤に携帯端末を差し出す。 意識はふわふわと宙を漂っており、ことの成り行きを全く理解していなかった。 数分後、二つの携帯端末を操作し終えた安藤は、片方を美緒に差し出した。 美緒はまた夢遊病者の手つきで端末を受け取る。 安藤ははにかむように笑った。 美緒もつられて笑ったが、なんだか不自然に不気味な笑いになっていたような気がする。 安藤はそれを気にもしない。 「今度は、八重樫たちが行ってるゲーセンに連れてってくれないか?」 「え、ゲーセン?」 「そう。バトルロンド……オレもやってみようと思うんだ」 屈託なく言う安藤を美緒は見つめてしまう。 もちろん、美緒に断れるはずもないし、断る理由もない。 「うん。わたしでよければ、案内するわ」 「やった」 にっこりと笑うと、彼は身を翻した。 「それじゃあ、八重樫。また明日な!」 「うん、また明日」 彼の背に向かって、美緒は小さく手を振った。 美緒の胸はいまだドキドキが止まらない。 ◆ 夢のような怒濤の一日が過ぎてゆく。 美緒は自室のベッドに寝ころび、天井を見つめながら、今日あったことを振り返る。 安藤智哉は憧れだった。 あんな人が彼氏だったら、きっと素敵だろう、そう思って、遠くから見ていただけだった。 彼の素敵なところを見つけては思いを募らせても、決して手の届かない人だと思っていた。 それが今日一日で一変した。 いま美緒が手にしている携帯端末のアドレス帳、その一番最初に「安藤智哉」の名前が表示されている。 美緒はため息をつく。 これはなんという夢なのだろうか。 このまま安藤と仲良くなれば、親しい友達になれるだろうか。 ひょっとして恋人になんて、なれる可能性もあるだろうか。 軽く頭をふり、そんな妄想を打ち消す。 でも、せめて、今のわたしと陸戦トリオの遠野さんくらいには近い関係になることを望んでも、罰は当たらないと思う。 そんなことを考えていると、 「安藤さんは……美緒のことが好きなのではないですか?」 彼女の神姫・パティが大砲を放った。 美緒はその場で転げ回る。 がば、と上げた美緒の顔は、これ以上ないほど真っ赤だった。 「んなっ……何言っちゃってんの、パティ!?」 「美緒と一緒にいるときの安藤さん、とても楽しそうでしたし……憎からず思っているのではないかと」 「そんなこと……安藤くんがわたしを好きだなんて、天地がひっくり返ってもあり得ないわ」 そう、あり得ない。 その可能性を、賢い美緒が考えなかったと言えば、嘘になる。 だが、美緒はそれを自ら強く否定した。 彼と自分とでは、何もかも違いすぎるのだ。釣り合いが取れないし、なによりそんなことを考えること自体が厚かましい。 だが、パティは首を傾げる。 どうして自分のマスターは、こう自分を過小評価するのか、と。 神姫である彼女の贔屓目を差し引いても、美緒は美人であると思う。 もっと自信を持てばいいのに。 それに、気のない女の子をわざわざ自宅に呼んでまで、神姫の相談をするだろうか。 別れ際に連絡先の交換なんて、気になる相手でなければしないのではないか? パティは冷静に、そう分析していた。 マスターと神姫の思いは平行線をたどりつつ、夜は更けていった。 続く> Topに戻る>
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/24656.html
登録日:2012/09/16(日) 22 53 38 更新日:2024/05/01 Wed 01 44 35 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 19歳 エージェントメイド コガラシの被害者 ドジっ娘メイド フブキ メイド 仮面のメイドガイ 巨乳 暗器 毛糸のパンツ 腹巻 豊口めぐみ 隠れ巨乳 おっちょこちょいのドジっ娘メイd △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら…[ガイっと] 誰がドジっ娘ですかーーーー!! ヌファ!? 氷の微笑み 赤井 丸歩郎の「仮面のメイドガイ」に登場するメイド。 声 豊口めぐみ さる大富豪、大富士原全重郎の孫娘&財産継承者である富士原なえかのメイド兼護衛のエージェントメイド。 容姿端麗で上品な言動、素晴らしいスタイルなどからついついお姉さんに見えてしまうが、なんと彼女は19歳。 普通なら高校卒業したての女子大生である。 「メイドガイテイマー」としてメイドガイの暴走を制御するのが役目だが、S級メイドの名に恥じない、完璧な家事スキルを持っている。 更にエージェントメイドであるために戦闘能力も高く、彼女は針や毒物、暗器などを使用するスタイルである。 肉弾戦はあまり得意ではなく、丸腰ならばちょっと強い女の子程度。 苦手って言っても釘バットで頭カチ割るけどな!! 装備はメイド服に収納されており、装備とメイド服を含めた体重は85キロにもなる。 それでいてあの身のこなしはやはりエージェントメイドならではのものだろう。 また、ミニスカメイド服などはアラシの教育によるものか、全力で拒否する傾向がある。 初出はメイドガイと共に1巻冒頭から、 「近寄る男は刺客かもしれない」 とまさに氷の微笑みを浮かべながら吹き矢で狙撃していた。 この時の彼女の笑みは一部の男からすれば至高そのものであり、 後述の属性からこの場面以外に見ることができないため非常に価値の高いものである。 あの微笑みを浮かべたフブキさんに踏まれたい方はタツマキさんに大金を貢げば擬似的に体験できると思うよ。 また、作中で巨乳として知られており、学校・大富士原陣営ではなえか(B88)に次ぐ巨乳である。 着痩せする体質なため、メイド服の上からはわかりづらい。 下着は冷え症なため、毛糸のパンツを着用する事が多い。 メイドガイと違い、れっきとした人間なので体調を崩す事もある。 就寝時は腹巻(本人はウエストウォーマーだと言い張る)も愛用。 余談だが、フブキさんの下着は下着ドロの間では数百万円の価値があると言われている。 (なえかは7万円) 他にも、メイドガイよって改造されたミサイル下着を(知らぬ間に)着用する事もあり、よくノーパンに。 良いなぁ、海ニシキゴイ…… また彼女は、 ドジっ娘メイド なのである。 「ドジっ娘? あぁ間違えてご主人様に毒入りのもの食べさせちゃって『あぁん、もう私ったらぁ!』とか言う奴? ありきたりじゃね?」 彼女はそんな安物のドジっ娘メイドではない。 ガーターベルト騎士団の前でそんな事を言ってみろ、 死ぬぞ 彼女のドジっ娘スキルは普段は見られない。何たって彼女はS級メイド。日常生活では完璧なのだ。 そして彼女のダメっぷりが見られるのは非日常。つまりは奴が動くとき。 そうなれば1巻冒頭でのカリスマなんて何処へ消し飛んだのか、あっという間にギャグ要員へと変身を遂げる。 彼女の愛らしいドジっ娘ぶりは是非、本誌を購入して確認して頂きたい。 可愛いっす、マジで。 因みに、祖母にアラシ、母にタツマキがおり、二人共見た目は凄く若々しい。 特にタツマキはフブキとそっくりで、それによりフブキが誤認逮捕されかけた事も。 追記、修正をする者は刺客かもしれない…… クックックッ、今更になってカリスマを取り戻そうと足掻いても時既に遅し 貴様は既に、ドジっ娘メイドとして生きていく他ないのだ!! 言わないでーーーーー!! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] フブキ「爪弾くはドジっ娘の調べキュアフブキ! って誰がドジっ娘ですか!」 -- 名無しさん (2013-11-03 11 53 52) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/battleconductor/pages/97.html
概要 運用 ステータス情報Lv1 Lv60 アップデート履歴 コメント 概要 表ステータスでは弾数が増えた代わりに射程と弾速が落ちた片手ライトガンといった印象。 どれもスタン属性で全体のコンボモーションも早めのため、スタンを取れたら一気にダメージを叩き込むことができる。 誘導がかなり高く、直角に約80度は曲がる。 2022/9/6のアップデートにてコンボする毎に威力が増加する仕様が追加された。チャンスがあればバシバシコンボを狙おう。 運用 弾速が遅い分誘導の乗る時間が増えるが、弾速が遅いせいで逃げている敵には当たりにくい。 射程が短いのもあり、片手ライトガンよりさらに接近戦を意識した立ち回りを。 ピックアップ 燃焼ポッド 回復ポッド 3/20より、スティールクロニクル特技スーツと共に実装された武装。他の投擲武器と大きく仕様が異なっており、自身のいる位置にポッドを設置(空中可)し、周囲にダメージを与えるドーム状のフィールドを一定時間発生させるものとなっている。射程が設定されているが、あくまでジェム回収における射程となっている。 そこそこ広い範囲のダメージ源を数秒間発生させる為相手の動きを制限させたり、牽制において有用。また他の射撃と違い、軸をずらして接近してくる近接使いに対しても面で迎撃出来る為、引き撃ちで反撃しやすいのもメリットである。 注意点としてはポッドの攻撃は攻撃対象数に特に制限はないが、対象一人に対してダメージを与えれるのは、ポッド1個あたり1回までなので気をつけること。 装弾数が2と少なくリロードも重めなので、場合によっては射撃弾数+を用意した方が良いかもしれない。 燃焼ポッドは戦闘用で、回復ポッドは燃焼ポッドより威力が劣る代わりにレイドにおいてフィールドに触れた味方神姫のLPを回復させれる。触ってさえくれればなんと1個で味方3人を纏めて癒せる。そのうえ、エラーも攻撃出来る万能武装となっている。 9/13のアップデートで燃焼・回復共通で溜め威力低下、燃焼のみ更にダッシュブーストの消費増加・最終攻撃判定範囲の縮小・持続時間の下方が加えられた。 特に溜め威力に関しては低下値が大きく溜めても与ダメージが殆ど変わらない程。 ステータス情報 太字はマスクステータス Lv1 武装 本来の装主 レア度 攻 防 ス 体 ブ 展開 回復 走速 走費 跳費 浮費 防費 リキャスト リロード 溜時間 溜倍率 射程 弾速 弾数 アクティブスキル 備考 大手裏剣"白詰草" フブキ N 109 5 0 0 58 -100 20 40 20 50 0.6 0.2 1.0 1.95 0.2 30 9 攻撃スピードアップ 一定時間攻撃速度を上げる R 143 5 0 0 80 SR 176 5 0 0 104 UR 210 5 0 0 167 大手裏剣"蓮華草" フブキ N 94 30 20 0 58 20 40 20 50 0.6 0.2 1.0 1.95 0.225 30 9 全員スピードダウン 一定時間全員のスピードを下げる R 128 30 18 0 80 SR 161 30 16 0 104 UR 195 30 14 0 167 大手裏剣"白詰草"(金) ミズキ N 94 60 20 0 58 -300 10 40 10 0.6 0.2 1.0 1.95 0.225 30 9 全員スピードダウン 一定時間全員のスピードを下げる R 128 60 18 0 80 SR 161 60 16 0 104 UR 195 60 14 0 167 大手裏剣"蓮華草"(金) ミズキ N 119 5 20 0 58 10 40 10 0.6 0.2 1.0 1.95 0.2 30 9 攻撃スピードアップ 一定時間攻撃速度を上げる R 153 5 18 0 80 SR 186 5 16 0 104 UR 220 5 14 0 167 Lv60 武装 本来の装主 レア度 攻 防 ス 体 ブ 展開 CHA CR C抵 回復 跳速 走速 走費 跳費 浮費 防費 近接 射撃 ♦攻 ♦防 リキャスト リロード 溜時間 溜倍率 射程 弾速 弾数 アクティブスキル 備考 フルストゥ・クレイン ストラーフ N 245 0 20 0 78 0 0 23 17 0 88 44 0 0 50 0 0 -50 0 0 100 0 30 9 ピアスドナイトメア攻撃力アップ 複数の投刃を投げて攻撃一定時間攻撃力を上げる R SR UR 棘輪 ハウリン N 231 0 0 30 48 0 0 23 17 0 88 44 0 0 50 0 0 0 0 0 100 0 30 9 攻撃力アップ 一定時間攻撃力を上げる R SR UR 大手裏剣"白詰草" フブキ N 230 5 0 0 77 0 0 46 32 20 176 44 20 0 0 50 0 0 0 0 0.6 0.2 100 0 0.2 30 9 攻撃スピードアップ 一定時間攻撃速度を上げる R 275 5 0 0 101 SR 309 5 0 0 125 UR 400 5 0 0 197 大手裏剣"蓮華草" フブキ N 215 30 20 0 77 0 0 46 32 20 176 44 20 0 0 50 0 0 0 0 0.6 0.2 100 0 0.225 30 9 全員スピードダウン 一定時間全員のスピードを下げる R 260 30 18 0 101 SR 294 30 16 0 125 UR 385 30 14 0 197 大手裏剣"白詰草"(金) ミズキ N 215 60 20 0 77 0 0 0 17 0 176 44 0 0 0 0 0 0 0 0 0.6 0.2 700 264 0.225 30 9 全員スピードダウン 一定時間全員のスピードを下げる R 260 60 18 0 101 SR 294 60 16 0 125 UR 385 60 14 0 197 大手裏剣"蓮華草"(金) ミズキ N 245 5 20 0 77 0 0 0 17 0 176 44 0 0 0 0 0 0 0 0 0.6 0.2 700 264 0.2 30 9 攻撃スピードアップ 一定時間攻撃速度を上げる R 290 5 18 0 101 SR 324 5 16 0 125 UR 410 5 14 0 197 ディーカヤコーシカ ストラーフmk2 N 235 0 0 0 78 30 0 23 17 0 88 44 0 0 0 0 0 0 0 -44 100 0 15 9 攻撃スピードアップ 一定時間攻撃速度を上げる R SR UR リジル[A] 紗羅檀 N 235 0 0 0 69 0 0 -10 17 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 35 -100 0 15 9 防御力ダウン 一定時間対象の防御力を下げる R SR UR ディーカヤコーシカ/L ストラーフmk2ラヴィーナ N 240 0 0 0 58 30 0 23 17 2 0 44 2 0 0 0 0 0 -88 -44 100 0 15 9 攻撃スピードアップ 一定時間攻撃速度を上げる R SR UR フルストゥ・クレイン[15th] ストラーフ N 225 15 15 15 63 15 15 66 47 15 0 0 15 15 15 15 0 15 -88 -88 115 0 30 9 ピアスドナイトメア15周年おめでとう! 複数の投刃を投げて攻撃一定時間弾速・射程を上げる R SR UR 回復ポッド スティールクロニクル N 160 0 0 0 78 30 -100 23 17 0 0 0 0 0 0 0 0 0 -88 -44 100 -792 0 2 体力回復 体力を回復する触れるとダメージを与えるドームを足元に設置するドームに敵が触れるとダメージ、味方が触れると回復ドームは時間とともに縮小する R SR UR 燃焼ポッド スティールクロニクル N 260 25 0 0 78 30 -100 23 17 0 0 0 29 0 0 0 0 0 -176 -44 100 -792 0 2 攻撃スピードアップ 一定時間攻撃速度を上げる触れるとダメージを与えるドームを足元に設置するドームは時間とともに縮小する R SR UR バニートレー Silver ver. イベント N 240 0 0 0 48 30 0 23 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 -88 100 0 15 9 攻撃スピードアップ 一定時間攻撃速度を上げる R SR UR バニートレー Gold ver. バニーミラージュ N 231 0 0 0 48 0 30 86 0 7 0 0 0 0 0 0 0 0 -88 0 100 0 50 9 全員スピードダウン 一定時間全員のスピードを下げる R SR UR ウェディングブーケ[B] ウェディング N 209 0 0 0 48 30 30 23 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 88 -88 100 0 50 9 攻撃力ダウンHappy wedding life♡ 一定時間対象の攻撃力を下げる祝福のウェディングケーキが落ちてくる装備条件 親密度120 R SR UR ウェディングブーケ[B]Pink ver. ウェディング N 240 0 0 0 48 0 30 23 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 -88 100 0 50 9 状態異常スタンHappy wedding life♡ 敵全員にスタン攻撃をする祝福のウェディングケーキが落ちてくる装備条件 親密度120 R SR UR ウェディングブーケ[B]Green ver. ウェディング N 255 0 0 0 48 -10 0 0 0 3 0 0 3 3 3 3 0 0 0 -88 103 0 50 9 ホーミング性能アップHappy wedding life♡ 一定時間ホーミング性能を上げる祝福のウェディングケーキが落ちてくる撃破♦自動回収50~200装備条件 親密度120 R SR UR アップデート履歴 日時:2022.9.06 内容:コンボ毎に威力が増加する仕様を追加。 日時:2021.10.08 内容:新規実装 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2650.html
神姫バトルの世界へ:第3話 「これとこれをケースに入れて、次は・・・・」 河野隆明自室にて 隆明が自室で今日のバトルで使う与一達の武装を一つ一つ専用のケースに収めている。 神姫マスターの決まりとして武装はバトルの時をのぞいて原則装着を禁止されているため、保管と持ち運びはそれぞれ専用のケースに入れておかなければならない。(アクセサリーや戦闘に関係ない私服などは別)自宅で武装状態のステータス・スキル等のチェックはパソコン等で神姫ネットに登録・アクセスしてシュミレーションを行うを行うことで把握する。 武装の取り扱いについては神姫のマスターとして遵守することが規約に記されている。隆明自身見たことはないが神姫を用いた犯罪を未然に防ぐためとのことで、違反すれば罰則をかせられることは言うまでもないので気をつけなければならない。というか、隆明からすれば大切な神姫を使って犯罪など理解できないのだが。 「マスター。今日はどんな武装にするのですか?」 与一達神姫は自分たちのまとう武装を隆明が入れやすいように並べてくれている。 「どんな人と当たるかわからないし、ある武装はひととおり持って行こうと思っているけど・・・・」 そういう隆明の傍らにはいつも仕事に行くときのショルダーバックではなくリュックサックが用意されていた。バトルを前に隆明は装備をある程度買い揃えていた。上級者はいろんな装備を組み合わせているのだそうだが、(まずは基本から)と純正装備を揃えていた。 「マスター。それでは荷物が多くなり、バイトにも差し障る。必要な物に絞るべきだ。」 キュベレーが自身の武装「コート&コーシカ」を手渡す。バトルはその日のアルバイトが終わったら甚平と店内で合流しその足でバトルにいく予定だった。バトルの前に仕事があり、自分たちのことで隆明にいらぬ負担をかける結果になるかもしれない。素っ気ない言葉にも気づいていないが、隆明を気遣ったキュベレーなりの気遣いが見えた。当の隆明は忙しく支度をしていた気づいていない。 (キュベレーなりにマスターを気遣っているのね。)そんな普段はあまり見せないキュベレーを与一はうれしく思った。普段冷静を保つために感情の起伏があまりないキュベレーだが、ささいなことに気を配れることを与一はよく知っていた。 その後与一の後押しもあり、純正武装とそれぞれ得意な武器を持っていくことで決まった。 「休憩いってきます。」 そういって隆明は仕事の合間の休憩のため、休憩所兼ロッカールームへ。戻ったところで、昼食を取り出すためにチャックをあけると、同時にアテナが飛び出す。 「マスター。バトルの時間ですね。」 省電力モードになっていたはずだが、どうやら仕事が終わったと勘違いをしているようだ。 飛び出してきたアテナに隆明が驚いていると、「グキッ」と音がならんばかりにキュベレーがアテナのポニーテールを引っ張って後ろに引き戻する。 「時間をよく見ろアテナ。まだ昼だ。」 引っ張られたアテナは首を押さえうずくまっている。キュベレーは相変わらずの様子で自分がやったことは特に気にしていない様子だったが、さすがにやりすぎと隆明は注意しようとしたその時。今度はアテナが後ろかキュベレーのツインテールの片方を引っ張る。 「キュベレーのバカバカバカバカーーー。頸が抜けるかと思ったんだからー。」 仕返しとばかりに、アテナは怒り心頭と言った様子でキュベレーの髪を引っ張っている。 するとキュベレーはアテナの頬を引っ張る。キュベレー痛みにいつもの冷静さはなくなり、アテナのような反応を見せる。傍目には子どもの喧嘩である。 「二人ともやめて。」 隆明の言葉も届かず、二人の引っ張り合いは続く。 「ドスッ」 鈍い音と共に二人の頭を鈍痛が走る。そこには箸を両手に持ち二人の脳天をたたく与一の姿があった。 「二人とも。いい加減にしなさい。」 たたく前に注意すればいいのにと思うが、こんな時に注意だけでは二人はとまらないことを与一はよく知っている。 「与一ねぇ。先に私の髪を引っ張ったのはあっちだよ。」 「与一ねぇ。私こそぼけたアテナを止めようと思っていただけだ。」 お互いに片手でたたかれたところをさすりながら、空いてた手でお互いを指さす。「ぼけてないよ。ぼけはキュベレーだよぉ。」「なんだと。」そんなところはそっくりである。そんな二人を見つめながら与一は持った箸を片手に持ち直しパンとたたく。直後二人とも(しまった。)とおし黙る。 「問答無用。マスターの貴重な休憩時間をつぶすとは言語道断。喧嘩両成敗。」 両手に持ち直した箸で再度「バシーン」と二人をたたく。二人が喧嘩をしたとき、与一はいつも同じように実力行使で止める。口答えは禁物。学ばない二人であった。 「あっ。昼飯食べなくちゃ。」 そうやってさわがしく隆明の昼は過ぎた。 仕事もあがりの時間。 更衣室で急ぎつつ、丁寧に着替えを行なう。神姫ショップではアルバイトは私服の上にエプロンを着用するのみなので、エプロンを畳むだけだが。与一達神姫が入っているリュックを肩に掛け、いつもより急いで事務所をでる。 「お疲れ様でしたー。」 「「「おつかれさまー。」」」 「おつかれー。頑張ってこいよー。」 仕事終わりの挨拶の中にも激励が飛んでくる。仕事仲間も隆明が今日から神姫バトルを始めることを知っている。中には隆明と同様に神姫のマスターもいるし、バトルをしている人もいる。彼らにしてみれば、仕事だけでなく新たに後輩ができるわけである。そんな言葉に背中を押され、急いだ歩調がさらに早くなっていくのがわかった。 (よし!いくぞ。) 「隆明こっちだ。」 「arch」2階のエスカレーター前。マスター登録をしたあの日。女の子とぶつかった場所で甚平が待っていた。 「お仕事お疲れ様ですぅ~。」 肩のたま子が労をねぎらってくれる。マスターよりもできた神姫である。 そうして合流した甚平とゲームセンターフロアへ向かった。合流してから流暢に話していた甚平がエスカレーターで階をあがっているといつの間にか無言になっていた。(甚平も緊張しているんだな。)柄にもないと思ってしまいそうにもなったが、それは自分も同じ。同じく黙ってしまっている自分も不安・緊張・期待。いろんな思いが胸中を巡っていた。 ゲームセンターフロアに到着しリュックの中から与一達神姫のみんなを外へ出す。 「ついにバトルですね。マスター。」 「誰があいてでも負けない。」 「まだ頭が痛いですぅ~。」 与一達はマスター達と違い静かに闘志を燃やしている。アテナはまだ打たれた頭をさすっている。(しっかりしなくっちゃ)そんな3人のおかげで隆明も緊張が少しほぐれた。 「じゃあ早速始めるか。行くぞたま子。」 「らじゃーです。マスター。」 まず第1戦はたま子とのバトルである。 「与一。準備はいい?」 「選んでいただき光栄です。最善を尽くします。」 まずお互いの神姫カードを筐体の読みとり部に当てる。 「認識しました。」と読みとり部分のタッチパネルに表示される。読みとり部のタッチパネルに「利用には神姫ポイント200が必要です。よろしいですか?」その下に「はい/いいえ」と表示される。当然2人とも「はい」を選択する。神姫ポイントから200が引かれ、残ポイントがパネルに表示され、「武装神姫バトル始まります。」筐体より男性の声で音声ボイスがでる。これで筐体使用の権利を得られたことになる。この音声ボイスも別の声に変更できるらしいが始めたばかりの2人にはまだ先の話である。 そして戦闘形式の選択に移る。「ライド/ロンド」の選択へと移る。 「ライド形式/ロンド形式」 ライド形式:新たに実装されたライドオンにより神姫を実際に操って戦う方式。 ロンド形式:マスターは指示などのみで神姫自ら戦う形式。以前までこの形式のみで行われていた。 2人とも「ライド」を選択し、戦闘形式が決定された。決定後操作用の装具の収納スペースのカバーが開く。 与一とたま子は神姫参戦用リフトへ移動する。 それと同時に武装搬入用ハンガーに装備する武装を一通りセットする。 神姫を乗せたリフトが下がり、2人とも武装を装着する。リフトが下がりきる。マスターもその間にヘッドギアなどライド用の装具を装着する。 神姫とマスターの準備が完了すると、筐体の中継用プロジェクターに」「Ready」と表示される。 筐体に備え付けられている「スタートボタン」を押す。「RIDE ON」と表示されバトルが開始される。 「与一ねぇ。ガンバレー」 「マスター。ふぁいとー」 神姫待機用ブースからアテナとキュベレーが声援を送る。 フィールドはコロシアム。開始から2人の神姫は積極的に間合いを詰め、接近戦を開始する。 「ま~すた~いくのにゃー。」 たま子がナックルからの連打をたたき込む。与一の接近戦で一番素早いのは小剣だが、矢継ぎ早の攻撃に防戦一方である。甚平も隆明も今始めたばかりの初心者。甚平は単純に連打しているだけであり、必ず合間はできる。その隙を攻撃すればいいのだが、隆明も初心者。普段喧嘩もしないこともあり、隆明は反撃の糸口を見つけられずに防戦一方になってしまっていた。 「とつげきなのにゃ~。」 たま子が決め手とばかりにをたたき込む 。その直後ガラスが割れるような音がして与一が吹き飛ぶ。与一は何とか踏ん張り転倒を避ける。 「与一。大丈夫か!?」 「痛(つ)っ。大丈夫です。」 さらに追撃を加えようとたま子が追いつく。先ほどの攻撃でシールドは破壊されてしまい、しばらくガードは使えない。残りのLPを見ればダメージを受けていることは一目瞭然。そんな状態で気丈に振る舞う与一に隆明は情けない気持ちでいっぱいだった。 (どうすれば、与一を痛めないで済む?) そう隆明が自問する間にもたま子は追いすがる。 「たま子。与一はガードができない。一気に決めるぞ。」 「了解なのにゃ~。」 そんな優勢なたま子が拳打をたたき込もうと拳を伸ばしたところで、腹部に与一の小剣の一撃が突き刺さり「カウンター」と表示されクリティカル分のダメージが上乗せされたダメージが加えられる。 「にゃっ!?」 たま子と甚平が驚いている隙に今度は隆明と与一の連撃が加えられる。 たま子を迎撃するために隆明が練った戦術。たま子はナックルで攻撃してきているので、与一の小剣では早さはかなわない。「なら逆に勝っているのは?」攻撃範囲(リーチ)。そう考えてたま子の攻撃が当たる前に攻撃を出して当てること。単純でナックルと小剣の攻撃時間差もよくわかっていない初心者の隆明には精一杯でぶっつけ本番の発想だったが、効果はてきめんだった。 そのまま与一が連打をたたき込み、与一の勝利となった。 筐体のスクリーンの隆明側に「WIN」甚平側に「LOSE」と表示されれる。 「マスター勝ちました。」 「ふぅっ。与一お疲れ様。」 お互い初バトル。お互い勝利を喜び合う。 対して甚平は 「後ちょっとだったなぁ。次は頑張ろうぜ。」 「そうです。あとちょっとだったですぅ。」 負けを喫したというのに2人は相変わらずの調子だった。実際後ちょっとだったのはその通りである。 「マスター。与一ねぇおめでとうございます~。」 「マスター。勝ったのはいいが、ダメージを受けすぎていると思う。」 アテナとキュベレーもそれぞれの賞賛をしてくれる。 「うん。ありがとう2人とも」 隆明は屈託のない笑顔を返す。 そんな隆明の笑顔にキュベレーは少し赤くなり顔を背ける。(なんかずるい)少しの非難も意に返さない隆明にキュベレーは毒気を抜かれる以上にかき乱されたような気がした。 バトルが終わり、筐体のスクリーンに「リザルト」が表示される。 「神姫名」「戦闘結果」「獲得経験値」などが表示される。 経験値を得て、レベルがあがっていくことでFバトルに出場するための予選や大会にでることができるようになる。 予選や大会には基本的に出場するための神姫のFバトルでのランクやレベルが設定されている。神姫が一定のレベルやランクを得ると該当神姫を所有しているマスターの神姫ネット(神姫マスターが強制的に加入しているSNSなどのインターネットサービス)に予選や大会の開催情報が届く。 そしてその予選をこなすことでFバトルに出場することができるのようになる。 さらに武装はFバトルをクリアすることでその上のグレードの武装を装備することができるようになる。 「続けてバトルしますか?」 と表示と共に10カウント表示される。続ける場合同じ神姫と同じ武装で100ポイントを消費してコンテニューできる。ただし筐体の占有を防ぐため1コンテニューまでで終了となる。 隆明も甚平も疲れたためもったいないが1回で終了する。 「いやー、負けた負けた。」 対戦を終了し、フロアの隅にある自販機コーナーのひとつに移動する。負けたのに甚平は落ち込んだ感じがない。 甚平が落ち込んだところを隆明はほとんど見たことがない。そんな甚平を隆明はとてもうらやましく思った。そんな甚平だからこそ広い交友関係を得ているのだ。基本内向きな隆明にとっては得難い物だった。 「ん、どした?」 「勝ったけど、キュベレーの言うとおりぎりぎりだった。」 バトル直後に喜んでいた隆明の様子が変わっていた。勝ったには勝ったが与一に多くのダメージを与えてしまったことを隆明は気にしていた。 (せっかく喜んでたのに。キュベレーがよけいなこと言うから。) (私は当然のことを・・・。) アテナはキュベレー昼間の仕返しとばかりに肘でこづいて非難する。 そんな2人をおいて与一が隆明へと歩み寄る。 「マスター。私のこと気にしていただきありがとうございます。初めてのバトル、マスターと勝利を得ることができて私はとてもうれしいです。」 「・・・うん。ありがとう。」 一瞬きょとんとしてしてしまったが、すぐに与一が自分を励ましてくれたのだと理解する。 (こんなんじゃいけないな。)隆明は与一の言葉に笑顔を取り戻すことができた。それは、神姫バトルを始めた目的をわずかながら一つ達成できた瞬間でもあった。 そんな2の様子にアテナとキュベレーはホッとし、甚平はにやにやしていた。 休憩もしばらくして終わり、隆明と甚平は別れ、お互い対戦相手のマスターを捜しフロアへ繰り出す。 「次は私の番だな。」 キュベレーは肩に移り静かに闘志を燃やしていた。(誰かバトルしてくれそうな人はいないかな・・・)そんな思いでフロアを散策している。積極的にバトルを申し込めばいいんだろうが、隆明にそんな度胸はない。 「あの・・・よかったら。」 そういって背後から声をかけてくる人の少年の姿があった。 製作後記 前作から時間がたってしまい申し訳ありません。隆明・甚平・与一・たま子それぞれの初バトルを書かせていただきました。 読みづらいと思います。申し訳ありません。なにぶん戦闘物を書くのは初めてなので、精進していきたいです。このあと、次の話でキュベレー、アテナと続きます。 神姫バトルの筐体についてはBLADE先生作品の「武装神姫2036」を参考にさせていただきました。 この場を借りてお礼申し上げます。 それではまた次回にて。
https://w.atwiki.jp/busou_bm/pages/106.html
入手条件 性格 声優 性能プラス補正アビリティ マイナス補正アビリティ ライドレシオMAX時の上昇能力 EXカラー イベント 入手条件 PlayStation®Storeにて神姫カタログ第6号よりダウンロード購入 『神姫素体(600円)』 『武装セット(1,000円)』 性格 一見気位が高く感じられる基本性格設定だが、高貴な中に秘められた情熱を 見つけられた時、オーナー自身も確実な成長が感じられるだろう。 と、公式の文にもあるように 高貴なお嬢様…というかお姉さまといった性格。 ラプティ様がみてる。 戦闘中小窓に出てくる顔は、凛々しい表情・ウィンク・笑顔ととても魅力的。 ダウンする攻撃を喰らった時には笑顔でプレイヤーを勇気付けてくれる。 その姿があまりに可愛いためわざと攻撃を受けたくなるが、勝利後の「マスター、ナイスファイト♪」を聞くためにも頑張って勝とう。 声優 遠藤綾 性能 能力値 LP SP ATK DEF DEX SPD BST 補正 ? ? ? ? ? ? ? ※数値そのものはフブキ型と同様。 プラス補正アビリティ 攻撃力+1,ブースト性能+1 マイナス補正アビリティ 防御力-1 ライドレシオMAX時の上昇能力 防御力,武器エネルギー回復速度,ガードブレイクダメージ EXカラー A.蒼髪(デフォルト) + ネタバレ B.金(黄?)髪 C.赤髪 イベント イベントは発生しません。